クルーズ船で胃腸疾患集団発生、ロイヤル・カリビアン船130人超に影響 – CDC報告

米ロサンゼルスを出航したロイヤル・カリビアンのクルーズ船「ナビゲーター・オブ・ザ・シーズ」で、130人を超える乗客乗員が胃腸の不調を訴える集団発生が確認されました。現時点では、この体調不良の原因は特定されていませんが、米疾病対策センター(CDC)が調査を進めています。

130人超の乗客乗員が不調を訴える

今月4日に出航した「ナビゲーター・オブ・ザ・シーズ」では、乗客3900人のうち134人(3.4%)、そして乗員1266人のうち7人が胃腸疾患の症状を訴えました。これらの症状は、クルーズ船が1週間の航海を終え、11日にロサンゼルスに戻った際にCDCの船舶衛生プログラム(VSP)に報告されました。報告された症状には、下痢、嘔吐、腹痛などが含まれています。

米国疾病対策センター(CDC)がクルーズ船における胃腸疾患の集団発生状況を確認する様子米国疾病対策センター(CDC)がクルーズ船における胃腸疾患の集団発生状況を確認する様子

クルーズ船における胃腸疾患の集団発生傾向

CDCのVSPがまとめた記録によると、今年これまでに、プログラムの対象となるクルーズ船で胃腸疾患の集団発生が18件確認されており、その大半は感染力の強いノロウイルスに関連しています。これは昨年1年間で報告された件数と同数に達しています。

ノロウイルスは、米バンダービルト大学医療センターの感染症専門家ウィリアム・シャフナー氏が「クルーズ船ウイルス」と呼ぶほど、クルーズ船のような閉鎖空間で容易に拡散し、集団感染を引き起こしやすい特性を持っています。同様の集団感染は、学校や刑務所など、多数の人が密集する場所でも頻繁に発生することが知られています。今年4月には、別の客船「クイーン・メリー2」で約250人の乗客がノロウイルスに罹患したと報告されました。しかし、今回の「ナビゲーター・オブ・ザ・シーズ」での集団発生がノロウイルスによるものかどうかは、CDCはまだ特定していません。

船会社の対応と今後の見通し

ロイヤル・カリビアン・グループの広報は、乗客、乗員、そして寄港地のコミュニティーの健康と安全を最優先事項としていると強調しています。同社は、船内での最高水準の健康と安全を維持するため、厳格な清掃手順を実施しており、その多くは公衆衛生ガイドラインを大幅に上回るものだと説明しています。

CDCによると、ロイヤル・カリビアンからは、発症者の隔離を行った上で、船内の清掃と消毒の手順を強化し、感染者から検体を採取したとの報告がありました。今後、これらの検体分析によって、今回の集団発生の正確な原因が明らかになることが期待されています。クルーズ船での衛生管理は常に課題であり、このような事態への迅速かつ適切な対応が求められます。