関西の大学群20年の変遷:『大学図鑑!』が紐解く京阪神と関大のリアル

長年にわたり信頼される大学案内『大学図鑑!』の最新版、『大学図鑑!2026』が発行されました。現役生やOB・OGら5000人を超える「生の声」に基づく本書から、本記事では関西の大学事情に焦点を当て、20年前からの変化と不変の姿を深く掘り下げます。「京阪神」と呼ばれる国立大学群と私立の雄・関西大学のリアルな「今と昔」に迫ります。

「京阪神」国立大学群:関西エリートの不変

関西の大学事情は他地域と異なり、国公立が圧倒的に上位という認識が根強くあります。中でも「京阪神」と呼ばれる京都大学、大阪大学、神戸大学の3校は別格。この3校に入学することが関西エリートの条件という空気は20年前から変わりません。

これら3校は京都、大阪、神戸とそれぞれ異なる都市にあり、単純な偏差値では測れない個性を持ちます。京大は比類なきNo.1、阪大は神大より上、神大は学力と生活のバランスで一番と、各々が自負。

興味深いことに、阪大は今も昔も「大阪っぽくない」と評されます。コテコテのイメージと異なり、学生は堅実に勉強・研究に打ち込み、世間一般の大阪像とはかけ離れた雰囲気を持ちます。

関西の大学の風景、京阪神や関西大学の学生たちが学ぶ活気あるキャンパスの様子関西の大学の風景、京阪神や関西大学の学生たちが学ぶ活気あるキャンパスの様子

私立「関西大学」:大阪らしさの象徴

一方、「ザ・大阪」というイメージを体現するのは私立の関西大学です。ここの学生はとにかくノリが良く、活気と元気があふれる雰囲気はまさに大阪を象徴しています。

単位格言と京大の「東大化」

関西の国立大界には「京大は天から単位が降ってくる、神大は地面に落ちている、阪大は掘っても出てこない」という格言があります。阪大については「大阪湾に沈んでいる」「木の上の単位を取りにいかねばならない」といった表現も。これらの格言からも、最も勉強が厳しいイメージがあるのは阪大かもしれません。

かつて自由な雰囲気で知られた京大も、近年は変化が見られます。真面目なエリート学生が増え、自由さは保ちつつもどこか整った雰囲気に。「京大が東大化している」との声も聞かれ、これも時代の流れでしょう。実際に、20年前にインタビューした京大生と、最新版に掲載されている京大生コメントを比較すると、この変化は明らかです。

『大学図鑑!』が示す関西の大学事情は、「京阪神」国立大学群がエリートの地位を保ちつつも、京大の「東大化」のように時代と共に変化している側面を示します。一方で、関西大学は変わらず「大阪らしさ」を体現する存在です。大学選びにおいては、偏差値だけでなく、各大学の個性や文化、歴史的変遷を深く理解することが不可欠です。

参考資料:『大学図鑑!2026』(2025年1月執筆) および 『大学図鑑!2007』(2006年1月執筆) より抜粋・再編集。