女優の遠野なぎこさんが7月17日、45歳で死去していたことが明らかになりました。親族が遠野さんの公式ブログを更新し、その事実を公表。7月3日午後に遠野さんの自宅で身元不明の遺体が発見され、後に本人と確認されたとのことです。親族は故人の名誉のため、死因が「事故によるものであり、自死ではない」と強く強調しています。
華やかな女優キャリアと世間を騒がせた私生活
遠野さんは1991年に本名の青木秋美としてテレビ朝日系『鳥人戦隊ジェットマン』でデビュー。1994年の『嫁の出る幕』からは遠野凪子を名乗り、1995年のTBS系ドラマ『未成年』で注目を集めました。1999年にはNHK連続テレビ小説『すずらん』でヒロインを演じ、人気女優の仲間入りを果たします。2001年公開の映画『日本の黒い夏-冤罪』では日本映画批評家協会新人賞を受賞するなど、演技派としての評価も確立しました。女優業の傍ら、歯に衣着せぬ「毒舌タレント」としても活躍。その一方で、私生活では3度の結婚と離婚を経験し、特に3度目の結婚がわずか2週間でスピード離婚に至ったことは、世間の大きな話題となりました。
闘い続けた摂食障害と繊細な素顔
近年、遠野さんは摂食障害に苦しみ、思うような芸能活動ができない時期が続きました。亡くなる直前には自身のインスタグラムで「私、うつ病なんだって」と綴っていたことも明かされています。彼女を知る関係者によると、「過激な物言いから破天荒なキャラクターに見られがちですが、実際は非常に繊細な人でした。ファンとの唯一の交流の場であったブログやインスタグラムにネガティブなコメントが書き込まれると、それによって心身のバランスを崩してしまうこともあった」と語っています。
遠野なぎこさん、その繊細な素顔と愛猫「愁くん」との絆。
愛猫との絆と母親との深い確執
3度の離婚を経て、遠野さんの心を癒やす存在は自宅で飼っていた猫たちでした。彼女は保護猫活動にも積極的に取り組み、深い愛情を注いでいました。親族のブログでも、「故人は生前も大切な愛猫のために日々懸命に生きておりました。どうか、皆さまにおかれましても、その想いをご理解いただけますと幸いです」と呼びかけられています。また、愛猫の「愁くん」については、「無事に保護され、現在は安心できる環境で元気に過ごしております。どうぞご安心ください」と現状が報告されています。
遠野さんが穏やかな人生を理想としていた一方で、唯一、激しい感情を露わにしたのは母親に関する話題の時でした。関係者の証言によれば、「遠野さんには兄弟がいるにもかかわらず、母親は彼女にだけ幼少期から厳しく当たっていたそうです。『だからアンタはダメなのよ』と罵倒される日々が続き、『すずらん』のヒロイン役を射止めた際も、ねぎらいの言葉は一切なかった。人格否定だけでなく、わいせつな言葉を投げかけられることも多く、遠野さんの性に関する考え方に多大な影響を与えたとされています」。遠野さんは後年、母親と絶縁。母親が自死していたことが分かり連絡が来た際も、引き取りを拒絶したといいます。ある番組で彼女の人生が「母親に通ずる部分もあるのでは?」と問われた際、それまで笑顔だった遠野さんが質問者を睨みつけ、「一緒にしないでください!」「そういう質問は絶対やめてください!」と声を荒らげて否定したエピソードは、彼女と母親の間の根深い確執を物語っています。
親族が語る「真摯に生き抜いた姿」
親族はブログで、「故人は俳優業に真摯に向き合い、さまざまな困難と闘いながら、懸命に生き抜いてまいりました。その姿を、私たち親族一同、深く尊敬し、心から誇りに思っております」と追悼の意を表しました。芸能界の荒波にもまれながらも、最後まで懸命に生きた遠野なぎこさん。今はただ、安らかに眠ることを願うばかりです。
参考文献
- FRIDAYデジタル