東京、というか首都圏の鉄道ネットワークは、なんだかんだで実によく出来ている。
都心部に張り巡らされた地下鉄は細やかに空白地帯を埋めて走る。そしてそれぞれが私鉄などに直通して郊外に出れば、所巧みに住宅地を走って都心と結ぶ。似たようなところを走っているように思えてつかず離れず、これまたきめ細やかに鉄道空白地を埋めている。
【画像】小田急多摩線“ナゾの終着駅”「唐木田」を写真で一気に見る
これでもまだまだ不充分だそうで、都心から郊外まであちらこちらに新線建設や延伸構想が跋扈している。
異常なまでに細かく、それでいてその飽くなき伸張欲、これが日本の全人口の約3割を抱える首都圏を支えているのだ。
そんな首都圏を支える路線のひとつが、地下鉄千代田線だ。都心部では明治神宮前や赤坂、大手町、北千住といった町を駆け巡る。東側ではJR常磐線に直通、果ては我孫子や取手まで。反対の西側では小田急線に乗り入れる。その終点のひとつが、唐木田駅だ。
小田急多摩線“ナゾの終着駅”「唐木田」には何がある?
……はて、唐木田とは。我孫子や取手ならばなんとなく聞きなじみもあろうが、唐木田駅とは聞いただけではどこにあるのか想像もつかない。まさしく典型的なナゾの終着駅といっていい。いったい、どんな駅なのだろうか。
唐木田駅は、小田急線は小田急線でも海老名や厚木、小田原に向かう小田急小田原線ではなくて、小田急多摩線という支線の終点だ。
小田急線は多摩川を渡ると東京都から神奈川県に入り、川崎市の西の端を縫うように走る。
その後、再び東京都は町田市に入るのだが、多摩線はその手前、川崎市麻生区の新百合ヶ丘駅で分岐してさらに西に向かう。
駅に近づくにつれ人が減ってきて…
車窓に流れるのはマンションが建ち並ぶ新興住宅地。高度経済成長期のニュータウンとはまたひと味違う、比較的新しい雰囲気を持つ住宅地だ。小田急多摩線は、そうした住宅地の中を走る路線なのである。
小田急線というと、平日昼間の下り電車でもなぜか座りきれないほど混んでいる印象がある。筆者がたまたまそういう電車に乗っているだけなのかもしれないが、まあ何かと混んでいる。
が、多摩線の場合はそういうことはないようで、駅を経るごとにどんどんお客が少なくなってゆく。