第2次トランプ政権、半年間の功罪:政策断行と顕在化する課題

第2次トランプ米政権が発足から20日で半年を迎えた。この間、トランプ大統領は、目玉である大型減税関連法案の成立をはじめ、不法移民の強制送還、政府機関の大規模なリストラ、さらにはリベラルな教育・言論機関の弱体化といった公約を精力的に実行に移している。その強権的な手法には批判の声も上がるが、保守派の判事が多数を占める連邦最高裁がトランプ氏の強力な「後ろ盾」として機能しているのが現状だ。与党・共和党が上下両院で多数を占めることで、実質的な政策のブレーキ役はほとんど存在しない状況にある。

ホワイトハウスで演説を行うドナルド・トランプ米大統領の姿。第2次トランプ政権の政策実行と半年間の成果を象徴するイメージ。ホワイトハウスで演説を行うドナルド・トランプ米大統領の姿。第2次トランプ政権の政策実行と半年間の成果を象徴するイメージ。

主要政策の断行と実績

トランプ大統領は「米国は世界一、魅力的な国になった」と自らの成果を誇示しており、その象徴の一つが不法移民対策だ。強硬な拘束・送還政策を推進した結果、バイデン前政権下で月間最大約37万人に達した不法越境者数は、今年6月には過去最低の約2万5000人まで激減した。今後、この取り締まりはさらに強化される見通しだ。

また、「左派思想の温床」と見なすエリート大学や公共放送への政府補助金を大幅に削減した。連邦職員の十数万人規模の解雇や、教育省を含む一部政府機関の縮小も着実に進められている。「政権寄り」と評される連邦最高裁は、これらの政策に対する差し止めを求める各種訴訟において、暫定的に政府を支持する判断を相次いで示しており、政権の推進力を後押ししている。

外交面においては、日本を含む各国に対する関税措置を強化する圧力をかけたほか、対外支援の予算を大幅に削減した。6月にはイランの核関連施設に対する空爆を敢行するなど、ソフトパワーよりも軍事的・経済的威圧を頼る傾向が顕著になっている。

政策の副作用と経済への波紋

一方で、トランプ政権の政策は、早くもその副作用を顕在化させ始めている。不法移民の一斉摘発への恐怖から、多くの移民労働者が職場に出勤せず、農業や食品加工業といった分野の事業者は直接的な打撃を受けている。また、大型減税法が低所得者向け医療制度「メディケイド」の予算を大幅に削減したことで、貧しい地方部では医療への不安が渦巻いている。野党民主党は、来年11月に予定されている中間選挙の主要な争点として、共和党の「弱者いじめ」政策を掲げる構えを見せている。

経済指標を見ると、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇したが、高関税政策や移民排斥が物価に本格的に影響を及ぼすのはこれからだと見られている。トランプ大統領が連邦準備制度理事会(FRB)に対し、執拗に利下げを迫る姿勢には、政策効果への焦りも垣間見える。

支持率の現状と今後の展望

政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた各種世論調査の平均値によると、トランプ大統領の支持率は18日現在で45.8%となっている。3月以降、継続的に不支持が支持を上回る状況だが、1期目の平均支持率42.8%と比較するとわずかに高い水準を維持している。しかし、政策の副作用が今後さらに顕著になるにつれて、世論の動向は複雑化する可能性を秘めている。

結論

第2次トランプ政権の半年は、公約の迅速な実行と、連邦最高裁および議会における共和党の支配を背景とした強固な政権運営が特徴であった。しかし、その強硬な政策は国内経済、社会、そして国際関係において、すでに様々な影響を及ぼし始めている。今後、これらの政策がもたらす長期的な影響、特に経済的な側面や来年の中間選挙に向けた国内外の反応について、日本を含む国際社会は引き続き注視していく必要があるだろう。


参考文献

  • 時事通信社 (Jiji Press)
  • リアル・クリア・ポリティクス (RealClearPolitics)