新潟県小千谷市に工場を構え、パワー半導体を製造していたJSファンダリが東京地方裁判所に破産を申請し、破産開始決定を受けました。この突然の決定により、工場で働く500人を超える従業員が解雇され、地元地域経済への影響が深刻に懸念されています。事態を重く見た県や小千谷市などは、緊急雇用対策本部を設置し、対応に乗り出しました。
負債総額161億円:パワー半導体製造「JSファンダリ」の破産詳細
JSファンダリは2021年に設立され、かつて新潟三洋電子が所有していた小千谷市の工場を取得しました。同社は電力制御などに用いられるパワー半導体ウエハーの製造を手がけ、事業拡大を目指していました。大型の設備投資を計画し、新潟県から総額5億8400万円もの補助金を受けるなど、将来への期待も集めていました。
しかし、市況の悪化などを背景に採算面で課題を抱えることになります。2023年12月期には、31億4000万円の売り上げを計上したものの、13億7200万円の最終赤字に陥っていました。最終的に、負債総額は約161億円に上り、民間の信用調査会社である帝国データバンクによると、これは2020年に約577億円の負債を抱え、民事再生法の適用を申請したダイヤメット以来となる、県内関係企業の大型倒産となります。
従業員500人超解雇:地域社会への衝撃と雇用対策
JSファンダリの新潟工場で働く500人を超える従業員は、2024年7月14日付で解雇されました。この突然の事態は、地元住民に大きな動揺と懸念を与えています。「地方がどうのこうの言われているときに、またああいう大きい会社がなくなれば、仕事をする場所がなくなる。大変」「知らなかったのでびっくりしている、周りにも働いている人がいるので心配。連絡してみようと思う」といった声が聞かれ、地域経済への広範な影響が懸念されています。
新潟県小千谷市にあるJSファンダリの工場外観
小千谷市の宮崎悦男市長は、突然の破産申請と解雇通知の手法に対し「突然解雇通知を発表するこの手法は従業員の気持ちに寄り添っているとは到底思うことができない行為。大変憤りを感じているところ」と強い憤りをあらわにしました。
これを受け、新潟県と小千谷市などは、解雇された従業員の再就職支援策を検討するとともに、地域経済に与える影響を最小限に抑えるため、緊急雇用対策本部を設置しました。対策本部では今後、解雇された従業員と雇用先企業とのマッチングを積極的に進めていく方針です。
今回のJSファンダリの破産は、新潟県小千谷市の地域経済に大きな打撃を与えるものと見られています。従業員の生活再建と、地域の産業基盤の維持に向けた、県と市の連携した取り組みが今後一層重要となるでしょう。
参考資料
- NST新潟総合テレビ
- 帝国データバンク