日本お笑い界のレジェンド「ザ・ぼんち」激動のキャリア:月収860万円から7万円への転落と不屈の復活

関西テレビのトーク番組「おかべろ」に、日本のお笑い界にその名を刻むレジェンドコンビ「ザ・ぼんち」(里見まさと、ぼんちおさむ)が登場し、彼らの波乱に満ちた半生を振り返った。MCを務めるナインティナインの岡村隆史とNON STYLEの石田明を前に、70歳を超えた大ベテランの二人が語った、芸能界の光と影、そして漫才への情熱は、多くの視聴者の心を揺さぶった。彼らは単なる芸人にとどまらず、一つの時代を象徴する存在として、その功績と再起の物語は、日本のエンターテインメント史において重要な意義を持つ。

カンテレ「おかべろ」に出演中の「ザ・ぼんち」里見まさととぼんちおさむ、そしてMCのナインティナイン岡村隆史とNON STYLE石田明。レジェンド漫才コンビの過去と現在を語る貴重な一枚。カンテレ「おかべろ」に出演中の「ザ・ぼんち」里見まさととぼんちおさむ、そしてMCのナインティナイン岡村隆史とNON STYLE石田明。レジェンド漫才コンビの過去と現在を語る貴重な一枚。

漫才ブームを牽引した輝かしい時代:月収860万円の頂点

1980年代、日本中を熱狂させた「漫才ブーム」の中心には、「ザ・ぼんち」がいた。彼らの革新的なスタイルと圧倒的な人気は、当時のテレビ界を席巻し、その影響力は計り知れないものがあった。この絶頂期には、なんと最高月収が860万円にも達したと明かされ、その驚異的な数字は当時の彼らの勢いを物語っている。少年時代にそのブレイクを目の当たりにしていた岡村隆史は、「『ザ・ぼんちです!』って紹介されて、お二人が馬跳びでセンターマイクまで出てくるんです。その間も『ギャー!』って歓声がすごかった」と興奮気味に当時の衝撃を語り、レジェンドコンビの尋常ではない人気ぶりを鮮明に伝えた。彼らの登場は、漫才という文化を社会現象にまで押し上げ、多くのお笑い芸人を目指す若者に夢を与えたのである。

疲弊とコンビ解消:里見まさとの月収7万円時代

しかし、その輝かしい成功の裏には、想像を絶する多忙さと心身の疲弊が隠されていた。あまりにも過酷なスケジュールとプレッシャーに耐えきれず、「ザ・ぼんち」は1986年に突如としてコンビ解消を発表。これは、ファンだけでなく業界全体に大きな衝撃を与えた出来事だった。特に、里見まさとにとっては、この解散が人生のどん底を経験するきっかけとなる。彼は当時を振り返り、「仕事はなくなるだろうなとは思ったけど、『ザ・ぼんちのまさと』が一人になったら、こんなに仕事がないのかと。もう見事に(仕事が)なかった」と述懐。月収は最高額の860万円から、衝撃のわずか7万円にまで落ち込んだという。この極端な収入の激減は、人気商売であるお笑い芸人の厳しさ、そしてコンビとしての絆が仕事の基盤である現実を浮き彫りにした。

奇跡の再結成と「THE SECOND」での再評価

失意の日々を経て、漫才への尽きることのない情熱が二人を再び引き合わせた。2002年、「ザ・ぼんち」は奇跡の再結成を果たす。そして、長年のブランクとベテランの地位に甘んじることなく、彼らは常に挑戦を続けた。その集大成ともいえるのが、今年5月に行われた「THE SECOND~漫才トーナメント~」への挑戦である。結成16年以上の漫才師のみが出場できるこの大会で、彼らは見事グランプリファイナルまで勝ち進み、若い世代の漫才師たちをも圧倒する存在感を見せつけた。この活躍は、往年のファンを歓喜させただけでなく、彼らのことを知らなかった新しい世代にもその実力と魅力を知らしめ、改めて「ザ・ぼんち」というレジェンドコンビの偉大さを世に示した。

里見まさととぼんちおさむが歩んできた道のりは、単なる芸人の成功と挫折の物語ではない。それは、日本のエンターテインメント業界における時代の変遷、そして逆境を乗り越え、不屈の精神で再び輝きを放つ人間の普遍的なドラマとして、私たちに深い感動と勇気を与える。彼らの物語は、漫才という伝統芸能が持つ普遍的な魅力と、それを継承し続ける芸人たちの誇りを雄弁に物語っている。

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