山崎怜奈氏が参院選特番で参政党を徹底分析:SNS戦略と政治家の役割に鋭い視点

昨夏の東京都知事選挙でコメンテーターとして注目を浴びた、慶應義塾大学卒業で元乃木坂46のタレント、山崎怜奈氏(28)が、7月20日に投開票が行われた第27回参議院選挙の特別番組『選挙ONE』(東海テレビ)に出演しました。ジャーナリストの大谷昭宏氏(80)や元首相補佐官の柿﨑明二氏(64)らと共に、今回の選挙で「台風の目」となった参政党に対し、その鋭い私見を述べ、視聴者や世論の関心を集めています。

「逃げ」と映った参政党への指摘:神谷代表の発言に苦言

番組では午後9時30分頃から、参政党の神谷宗幣代表(47)と中継を繋ぎ、インタビューを実施しました。インタビュー終了後、感想を求められた山崎氏は、参政党の政治姿勢について具体的な見解を示しました。「現状が不満で政治を変えたいから、右派ポピュリズムに投票するというのが普通に成立するようになってしまっている」と現状を分析しつつも、「何か具体的なものを詰められると『いや、我々はここから始まるところなので』という風に、ちょっと逃げのように聞こえる」と、政策の詳細への言及を避けるかのような姿勢に疑問を呈しました。

続けて、参議院選挙が6年間の国政を担う重要な選挙であることを強調し、「先ほど(神谷氏が)『叩かれたことによって後半、票が伸びた』と仰っていましたけど、それは言い訳ではないか」と痛烈に批判しました。この発言は、確かに一部で票に繋がった可能性を認めつつも、政治家としての責任を回避するような印象を与えかねないと指摘。「率直に心証が悪いな」と述べ、有権者の感情にも訴えかける視点を示しました。

山崎氏はまた、政治家の本来の役割は「デマや不安を煽ることが本来の務めではない」と力強く主張しました。参政党を支持する人々の中に実際に不安を抱える層がいることを認めつつも、「そういった不安とか社会の歪みというのを、どう現実的に具体的に有機的な議論で進めていくのか、繋げていくのかというのを今後慎重に監視していきたい」と、今後の参政党の活動に対する期待と監視の姿勢を表明しました。

選挙特番に出演し、鋭い表情でコメントする山崎怜奈氏選挙特番に出演し、鋭い表情でコメントする山崎怜奈氏

SNS戦略と「推し活」化する政治への警鐘

番組では、参政党のSNSを駆使した選挙戦略にも焦点を当てました。選挙戦中、街頭演説のライブ配信や、神谷氏が「国が滅ぶ!」「政治ってなんのためにあるんですか!」と力強く訴える切り抜き動画がSNSやYouTubeで拡散した実態がクローズアップされました。有権者へのインタビューでは、「TikTokやショート動画で見て街頭演説を聞きに来た」という声も紹介され、その影響力の大きさが示されました。

VTR後、「参政党のSNS戦略について、今回どう見ていましたか?」と問われた山崎氏は、「正直に言うと、SNSを中心とした選挙戦略と参政党の掲げているものって相性が良くて、ある意味。勢いがあって、端的でわかりやすく響くというのが」と分析。その上で、SNSを通じた情報接触の特性について持論を展開しました。

「選挙は街頭演説を見に行くと、周りの空気感だったりとか反応だったりだとか、客観的に聞き取ることができると思うんですけれど、SNSってスマホ1つで、こうやって1対1で見ていると、良くも悪くも響きすぎちゃうんですよね。盲目的になりすぎちゃうところもあると思うので、参政党の支持者だけに向けて言っていくというパフォーマンスとの相性が良すぎた結果、こうなっていると思いますね」と、SNSの閉鎖性と情報伝播の危険性を指摘しました。

さらに、「去年の(東京都知事)選挙とかも含めて、かなり政治に対するものが信心深くなっているというか。推し活みたいになってしまっている空気感があって。政治って我々は選挙の時に選んで、それを監視していくもの、見続けていくものだと思うので、『信じるものではないのでは』という風に思いますね。感覚がちょっと今までと変わってきてると思いますね」と述べ、政治が感情的な「推し活」(好きなアイドルなどを応援する活動)のようになっている現状に警鐘を鳴らしました。

番組で紹介された各政党のYouTubeチャンネル登録者数増減グラフでは、参政党が約1ヶ月で登録者数12万人を超えるなど、他党を大きく引き離してトップだったことが示されました。この状況に対し、「どう思いますか?」と問われた山崎氏は、次のように見解を述べました。

「現状に対する不満が、神谷さんをカウンターとすることによって放出されていて、かつSNSは拡散しやすいですから、今までのビラを配ったりだとか、ポスター貼ったりとかという(やり方)以上に広がっていっている。しかも水面下で。というのが今回、各選挙区への予測というのも大きく覆す形になったりだとか、保守王国と言われているようなところも覆ったりだとか、という結果に現れているように見ています」と、SNSが選挙結果に与えた影響の大きさを指摘しました。

子育て政策への発言に深い懸念:弱者に寄り添う政治の必要性

神谷氏の7月4日の街頭演説では、毎月10万円の子育て教育給付金政策について訴える動画がSNSで拡散しました。この中で神谷氏は、「なんでも無償、無償ってしてるから逆にお金足りなくなるんですよ」「病気になった時は確かに無償でありがたいかもしれないけど、うちの子なんか元気だから病院行かないわけですよ。医療費無償化関係ないじゃないですか」と発言しています。

山崎氏は神谷氏のこの発言に対し、「一番不安になった」と述べ、その理由を次のように説明しました。「『私の子供は元気だから病院なんて行かない』みたいな話を政治家がするって。どちらかといえば数が少ない人、声が小さい人、力が弱い人とか(に目を向けるべき)。論理もルールも無視した大声のような力技みたいなもので、『見ない見ない』ってなっちゃうのはちょっとその世界どうなんだろう」「自分のことしか見えていないのかなという風に思ってしまいますね」と、政治家の発言として不適切であると疑問視しました。

参政党・神谷宗幣代表への厳しい指摘を述べる慶應義塾大学卒の山崎怜奈氏参政党・神谷宗幣代表への厳しい指摘を述べる慶應義塾大学卒の山崎怜奈氏

その上で、「第三者に思いが及ぶのが政治であって、人の道であってほしいとすごく思いますね」と締めくくり、政治が弱者やマイノリティに寄り添うべきであるという強いメッセージを発しました。

反響と過去の経験:石丸伸二氏との対峙を振り返る

山崎氏のこうした熱弁は、SNSプラットフォームのX(旧Twitter)でも大きな注目を集めました。特に参政党のYouTubeチャンネル登録者数が他政党の中でトップだったことへの意見には、《圧倒的正論》《山崎さん、まともなことしか言ってない》といった支持の声が多数寄せられました。一方で、《悪口…?》《自分のことしか考えて無いなら、こんなに苦労して政治家なんて目指すかよ!》といった批判的な声も一部には見られ、その発言が様々な意見を呼んだことが伺えます。

昨年行われた東京都知事選挙では、『Mr.サンデー“七夕決戦”都知事選SP』(フジテレビ系)で候補者であった石丸伸二氏(42)との質疑が話題となりました。当時、石丸氏から手厳しい対応をとられた山崎氏は、番組終了後に更新したXで「あー怖かった、でも楽しかった、色々若くてすみません…」と感想を綴っていました。あれから丸1年が経過しましたが、もし今、山崎氏が神谷氏と直接対峙する機会があれば、どのような質問を投げかけるだろうか、と多くの人々が関心を示しています。