乃木坂46 39thシングル『Same numbers』センター賀喜遥香抜擢の深層:夏曲が持つ特別な意味

乃木坂46の39thシングル『Same numbers』が7月30日(水)にリリースされる。今作でセンターを務めるのは、グループの顔として活躍する4期生・賀喜遥香だ。彼女にとって今回のシングルは、通算4度目のセンター就任となる。また、今回の選抜メンバーでは、人気と実力を兼ね備える5期生の川崎桜と一ノ瀬美空が初のフロントポジションに抜擢され、注目を集めている。この“さくみく”コンビは、Wセンターを飾ってもおかしくないほどの勢いを見せていた時期でもあり、なぜ今回、賀喜遥香がセンターに選ばれたのか、多くのファンの間でその理由が論じられている。そこには、アイドルグループの活動において特別な意味を持つ「夏曲」ならではの、戦略的な意図が隠されていると考えられる。

「夏曲」が持つアイドルグループにとっての特別な位置づけ

まず理解しておくべきは、アイドルグループにおける「夏曲」の位置づけの重要性である。乃木坂46に限らず、多くのアイドルグループにとって、7月から8月にかけてリリースされるシングルは、夏の全国ツアーと密接に連動する、非常に重要な楽曲となる。この時期のシングルのセンターは、ツアー全体の「座長」としての役割を担い、ファンと共に夏を盛り上げる主役として、グループのパフォーマンスとイメージを牽引する存在が求められる。

乃木坂46においても、7月5日からは毎年恒例の「真夏の全国ツアー2025」がスタートする予定であり、この夏曲のセンターには、パフォーマンス面での安定感はもちろんのこと、グループ全体の精神的な支柱となり得る人物が選ばれる傾向にある。まさに、このツアーの成功を左右するほどの責任と期待が、センターに寄せられるのだ。

乃木坂46 39thシングル『Same numbers』のセンターを務める賀喜遥香。初のフロントに抜擢された5期生の川崎桜、一ノ瀬美空とともに。乃木坂46 39thシングル『Same numbers』のセンターを務める賀喜遥香。初のフロントに抜擢された5期生の川崎桜、一ノ瀬美空とともに。

乃木坂46「夏曲」歴代センターに見る変革の歴史

乃木坂46の過去の「夏曲」を振り返ると、そこにはグループの転換点となるような「新センター」が誕生しやすいという興味深い傾向が見て取れる。例えば、6thシングル『ガールズルール』では、それまで5作連続でセンターを務めてきた生駒里奈に代わり、白石麻衣が初めてセンターに立つという大きな変化があった。この楽曲は乃木坂46の代表曲の一つとなり、グループの新たなフェーズを象徴する一曲となった。

さらに、15thシングル『裸足でSummer』では、初期はアンダーメンバーとして活動することが多かった齋藤飛鳥が初のセンターに抜擢され、その後の彼女の活躍を後押しした。続いて18thシングル『逃げ水』では、加入したばかりの3期生である大園桃子と与田祐希が異例のWセンターを務め、グループの世代交代を強く印象付けた。直近では33rdシングル『おひとりさま天国』で、5期生の井上和がセンターに選ばれるなど、乃木坂46の夏曲は常にグループの進化や新たな顔の誕生を伴ってきた歴史がある。

5期生の活躍と「新センター」への高まる期待

こうした歴史的背景から、今年の夏曲でも新たなセンターの誕生が期待されていたのは自然な流れと言える。確かに6期生からの表題曲センターは時期尚早だとしても、5期生の目覚ましい活躍を考慮すると、井上和、中西アルノ以外のメンバーがセンターを務めることは十分に考えられた。特に一ノ瀬美空は、お披露目イベントである「5期生 お見立て会」で『ガールズルール』のセンターを務めた経験があり、既に夏曲のイメージを持つメンバーとして認識されている。彼女が人気と実力を兼ね備える川崎桜と「さくみく」コンビとしてWセンターを務めていれば、間違いなく大きな話題を呼んでいたことだろう。

にもかかわらず、今回賀喜遥香がセンターに選ばれたのは、彼女の持つ安定感と、これまで培ってきたグループにおける確固たる存在感が重視された結果と推察される。真夏の全国ツアーという重要な舞台を控える中で、既に実績と経験を持つ賀喜遥香のリーダーシップに、グループ運営が大きな信頼を置いたと見るのが妥当だ。これにより、5期生の新しい才能をフロントでアピールしつつ、盤石な体制で夏を乗り切るという、戦略的な布陣が敷かれたと言えるだろう。