いよいよ夏休みが始まり、旅行や長期不在で家を空ける機会が増える時期です。同時に、留守宅や子どもだけで過ごす時間が多くなることで、空き巣などの侵入窃盗に遭うリスクも高まります。犯罪者はどのような家を狙い、私たちはどのように身を守るべきか。最新の防犯理論に詳しい立正大学の小宮信夫教授に、今知っておくべき効果的な防犯対策を伺いました。
「狙われやすい家」の特徴:専門家が解説
小宮教授は、夏休みは犯罪者にとって「都合のいい状況がどんどん増える」ため、「要警戒」だと指摘します。では、具体的にどのような家が狙われやすいのでしょうか。
まず、多くの人が誤解しがちなのが「高い塀や植木に囲まれた家」です。一見、外部からの侵入を防ぐように思えますが、実はこれが犯罪者にとって好都合な環境を作り出します。
塀や植木の高さが招く危険性
高い塀や密な植木に囲まれた家は、一度敷地内に侵入してしまえば、外からの視線が遮られ「見えにくい」状態になります。また、視線だけでなく物音も漏れにくくなるため、犯罪者が侵入作業に集中しやすい環境を提供してしまいます。
対策としては、塀の高さは150cm以下に抑え、視界が確保できるフェンスを選ぶことが推奨されます。
敷地侵入後の「見えにくさ」が重要
小宮教授は、「敷地に入るのは一瞬のこと」と説明します。真に時間がかかるのは、戸締まりされた家屋への侵入作業です。この侵入作業中に「誰かに見られるかもしれない」という恐怖こそが、犯罪者にとって最大の脅威となります。そのため、「見えにくい」家は狙われやすいのです。
周囲の環境が与える影響
「狙われやすい家」には他にも特徴があります。
- 隣の家との距離が遠い家: 人の目が届きにくく、物音も気づかれにくいため、侵入しやすい環境です。
- 家の近くに駐車場がある家: 犯罪者が逃走手段を確保しやすいため、犯行の危険度が高まります。
小宮教授は、防犯対策の鍵となるのは「入りやすく」「見えにくい」という2つのキーワードだと強調します。これらの要素を複合的に考慮することで、自宅のどこが犯罪者に狙われやすいのかが自然と見えてくるはずです。
空き巣対策のための住宅防犯イメージ
実は盲点?防犯に影響する「家の明るさ」
一般的に、家が明るければ防犯効果が高いと考えられがちですが、照明にも注意が必要です。
玄関・勝手口の照明と犯罪者の心理
一晩中、玄関や勝手口が明るく照らされている家は、一見安全そうに見えます。しかし、これは内部の様子が外から丸見えになり、在宅状況や室内の配置が容易に把握されてしまうリスクがあります。犯罪者は、事前に下見を行う際、家の内部がよく見える明るい家を好む傾向があるため、かえって狙われやすくなることがあります。
適切な照明計画としては、人感センサー付きのライトを設置し、必要な時だけ明るくなるようにすることで、不意の侵入者を警戒させる効果が高まります。
まとめ:夏休みを安全に過ごすための防犯意識
夏休み期間中は、留守宅を狙う犯罪が増加する傾向にあります。防犯の専門家である小宮教授の指摘から、自宅の「見えにくさ」と「入りやすさ」という2つの視点、そして照明の活用方法が、侵入窃盗対策において極めて重要であることがわかります。
長期不在にする際は、新聞の配達を一時停止したり、タイマー設定で室内の照明を点灯させたりするなどの工夫も有効です。隣近所との連携を密にし、地域全体で防犯意識を高めることも、安全な夏を過ごすための重要な鍵となるでしょう。
参考文献
- TBS NEWS DIG Powered by JNN. (2024年7月22日). いよいよ始まった夏休み。旅行で家を空けたり、子どもだけで過ごす機会が増えるなど、犯罪にあう危険性も高くなります。 犯罪者が目をつける「家」とは?子どもを守るために大事なことは? 今知っておきたい防犯対策を、最新防犯理論に詳しい立正大学の小宮信夫教授に聞きます。 https://news.yahoo.co.jp/articles/5ac240e59dd9867060b758bdaac7c6219ef26ca2