「川口市で参院選無効票10万票」は誤り:選挙管理委員会が公式データで否定

2025年参議院選挙の投開票を巡り、「埼玉県川口市で10万票もの無効票が出た」とする情報がSNS上で広く拡散していますが、これは事実とは異なります。川口市選挙管理委員会への問い合わせにより、無効票の実際の数値は埼玉選挙区、比例代表ともに約5,000票程度であり、過去の選挙と比較しても特異な数字ではないことが確認されました。この誤情報により生じる混乱を避けるため、正確な情報に基づく理解が求められます。

2025年参院選における川口市の無効票に関する誤情報の検証画像2025年参院選における川口市の無効票に関する誤情報の検証画像

拡散された誤情報の概要

今回検証の対象となったのは、2025年7月20日の参院選投開票日に「川口市で10万票の無効票が出た」と主張し、その後削除された投稿や、同様の内容を引き継いで拡散され続けている複数のSNS投稿です。これらの投稿は、選挙結果に対する不信感を煽る可能性があり、その真偽が問われていました。

参院選埼玉選挙区の結果と無効票の実態

2025年参議院選挙の埼玉県選挙区では、定員4議席に対し15名が立候補しました。7月20日の開票結果では、自民党の古川俊治氏、国民民主党の江原久美子氏、立憲民主党の熊谷裕人氏、参政党の大津力氏が当選しています(NHK「参議院選挙 埼玉選挙区 開票結果は 定員4に15人立候補」より)。

川口市選挙管理委員会の公式見解

日本ファクトチェックセンター(JFC)が川口市選挙管理委員会に直接問い合わせたところ、無効票に関する正確な数値が判明しました。担当者によると、今回の参院選における川口市の無効票は、県選出(選挙区)で5,409票、比例代表選出で5,019票でした。

投票総数を見ると、選挙区は262,599票、比例代表は262,977票で、それぞれの無効票率は選挙区が2.06%、比例代表が1.91%となります(川口市選挙管理委員会「川口市選挙投・開票速報」)。これは、前回の参院選における全国平均の無効票率(選挙区2.71%、比例代表2.98%)と大きな差はありません(総務省「令和4年7月10日執行 参議院議員通常選挙 速報結果」)。

さらに、川口市は2024年の衆院選比例代表選における無効票数や持ち帰り票数も公開しており、この時の無効票数は4,893票でした。これは、今回の2025年参院選の無効票数とほぼ同水準です。これらの公式データに基づき、川口市選挙管理委員会は、「10万票という無効票はありえない」と明確に回答しています。

結論

「2025年参議院選挙において、埼玉県川口市で10万票の無効票が出た」という情報は、川口市選挙管理委員会の公式データと見解により、完全に誤りであることが確認されました。実際の無効票数は約5,000票であり、これは全国的な傾向や過去の選挙と比較しても妥当な水準です。情報が拡散しやすい現代において、公式な情報源に依拠した事実確認の重要性が改めて浮き彫りになりました。

参考文献

  • NHK. 「参議院選挙 埼玉選挙区 開票結果は 定員4に15人立候補」.
  • 川口市選挙管理委員会. 「川口市選挙投・開票速報」.
  • 川口市選挙管理委員会. 「投・開票結果 第50回衆議院議員総選挙「比例代表(PDFファイル)」」.
  • 総務省. 「令和4年7月10日執行 参議院議員通常選挙 速報結果」.