7月20日投開票の参院選で、与党が過半数を大きく割り込む大敗を喫した自民党。昨秋の衆院選に続く連敗で、石破茂首相(68)への退陣要求が党内からも上がる中、石破首相は21日の記者会見で続投を正式に表明しました。しかし、23日には毎日新聞などが、石破首相が8月中に退陣する見通しであると報じ、これに対し首相自身が同日夕の取材で「そのような発言をしたことは一度もございません」「報道されているような事実は全くございません」と重ねて否定するなど、政局は混迷を極めています。
参院選大敗後の政局混乱と「ポスト石破」への動き
今回の参院選では、自民・公明両党が大きく議席を後退させる結果となり、石破政権に対する党内外からの批判が噴出しています。特に、2024年秋の衆院選での敗北に続く連敗は、政権の求心力低下を決定的なものとしました。石破首相の続投表明は、党内の動揺を抑えようとする試みと見られますが、その直後に複数のメディアから退陣報道がなされ、首相がこれを否定するという異例の事態が続いています。
このような状況下で、今後も「ポスト石破」を巡る動きが加速することは避けられないと見られています。党内では、政権の立て直しに向けた具体的なリーダーシップが求められており、次期総裁候補を巡る水面下の駆け引きが激しさを増しています。
麻生太郎氏の動向と高市早苗氏への期待
自民党の内部動向において、特に注目を集めているのが、党最高顧問を務める麻生太郎氏(84)の動きです。参院選投開票日の20日には、麻生氏が周囲に対し「石破首相の続投は許されない」と語っていることがテレビ朝日によって速報されました。
今回の参院選では、自民・公明両党が後退する一方で、参政党や国民民主党が躍進を遂げました。この背景には、これまで自民党を支持してきた従来の保守層の一部が、これらの新興政党や野党に流れたことが指摘されています。党の立て直しには、この保守層を再び自民党に取り戻すことが喫緊の課題とされており、その鍵を握る人物として麻生氏が前経済安保担当相の高市早苗氏(64)を次期総裁選で再びプッシュする可能性が取り沙汰されています。
高市氏は昨年、自民党総裁選に出馬しており、保守層からの根強い支持を集めています。「ポスト石破」候補としては、林芳正官房長官(64)や小泉進次郎農相(44)など複数の名前が挙がっていますが、政治部デスクは「保守層からの受け入れやすさだけを見れば、高市氏に軍配が上がるのではないか」と分析しています。麻生氏が高市氏を強く推すことで、党の保守基盤を再構築し、失われた支持を取り戻す狙いがあると考えられます。
石破茂首相が記者会見で続投を表明する様子
参政党からの「合流」ラブコール:さや氏の発言と波紋
混迷を深める自民党政局を巡り、思わぬところから声が上がっています。参院選東京選挙区で2位当選を果たした参政党のさや氏(43)が、当選翌日の21日に経済学者の三橋貴明氏(55)のYouTubeチャンネル生配信に出演し、麻生氏や高市氏に対し“ラブコール”を送ったのです。
配信中、石破首相が続投を表明する様子を見たさや氏は、「まさかの。ギャグ?常識がない」と驚きを表明。同席していた三橋氏も「もしこれで自民党の高市さんたちが動かなかったら、アウトだわ。自浄能力ゼロってことで」と党の対応を批判しました。
さや氏はさらに、「ここまでくると、石破さんは自民党を根本から潰そうとして、どこかから派遣されてきたんじゃないかというか。使者かな、というぐらい。本当に壊れちゃってるじゃないですか。派閥ももう終わってるし」と、石破首相の続投に対する強い不満を表明しました。
「巨大ピザ」を手に支持者と交流する参政党の神谷宗幣代表。
そして三橋氏が「麻生・高市陣営、あそこが割れて両院議員総会を開く動きをしなかったら終わりだよ」と訴えると、さや氏は大胆な提案をしました。「だから、もうその辺りの人たちも離党して、合流とか、そういう。こちら側に合流とか。参政党でも、国民民主党でも、ダメかしら?」
この発言に対し、三橋氏は「こちら側って何よ!?」と驚きを見せ、さや氏のまさかの「合流」提案はSNS上でも大きな反響を呼びました。X(旧Twitter)では、「自民支持者だけど、万が一これに乗ってしまったら自民支持やめるなぁ…」「これ、代表知ってんのか?勝手にやってる?軽すぎやろ」「麻生さん高市さんは参政党と組むなんて100%ない」といった様々な意見が寄せられ、この提案の実現性に対して疑問や否定的な見方が多くを占めています。
結論
参院選の大敗により、自民党は深い混迷の中にあり、石破首相の去就が不透明な状況が続いています。党内では「ポスト石破」を巡る動きが活発化し、麻生太郎氏が高市早苗氏を推す可能性が浮上するなど、次期リーダーシップを巡る権力闘争が激しさを増しています。一方で、参政党のさや氏による大胆な「合流」提案は、政界再編の可能性をほのめかしつつも、その実現には大きな障壁があることを示唆しています。今後の日本政局は、石破首相の最終的な判断、そして自民党内外の主要人物たちの動向によって、大きく左右されることとなるでしょう。
参考文献
- 毎日新聞 (2024年7月23日). 「石破首相、8月中に退陣の公算大」
- テレビ朝日 (2024年7月20日). 「麻生氏『石破首相続投は許されない』と周囲に語る」
- 三橋貴明氏YouTubeチャンネル (2024年7月21日). 「参政党・さや氏生出演回」
- 女性自身 (2024年7月23日). 「石破首相が『退陣報道』を否定…参政党・さや氏が『麻生・高市はウチへ合流!』まさかの呼びかけ」