離婚はしかたなかった。だからこそ、その後、一緒に暮らす子どもたちから、どんなに反抗されても精神的な負担は増やすまいと、すべてをのみこんできた宮川一朗太さん。成人した娘たちからかけられた言葉に、涙が止まりませんでした。(全3回中の1回)
■娘たちの希望で離婚を公表できなかった
── 今年で芸能生活42年を迎える俳優の宮川一朗太さん。10代でデビューして以来、ドラマや映画、競馬番組のMCなどで活躍し、近年は『半沢直樹』や、大河ドラマ『光る君へ』など、話題作にも出演。プライベートでは20年前に離婚し、男手ひとつで2人の娘さんを育ててこられました。娘さんたちが成人されるまで、離婚したことを伏せていらしたと伺いましたが、その背景にはどのような思いがあったのでしょう?
宮川さん:仕事がら、離婚は公表すべきものだと思っていました。でも、子どもたちはどうしても嫌がったんですね。ちょうど中学生という多感な時期で、親の離婚を知られることで学校や友だちとの関係にどんな影響が出るか、不安が大きかったようです。その気持ちは痛いほどわかりましたし、何より子どもたちをこれ以上傷つけたくなかった。それで公表を控えることにしたんです。
娘たちが20歳を迎えたころ、『半沢直樹』がちょうど放送され、僕自身もバラエティ番組に呼んでいただく機会が増えたので、「そろそろ話してもいいかな?」と相談したところ、無事OKが出て、いまに至ります。
── ですが、離婚を伏せることで、周囲からのサポートを得にくいだけでなく、恋愛の場面では、思わぬ誤解を招くリスクもあったのでは?
宮川さん:おっしゃる通りです。ただ、僕にとっては、子どもたちが最優先でしたから、自分の恋愛感情よりも「娘たちがどう感じるか」をまず考えてしまうんです。たとえ誰かを好きになっても、「子どもたちにとって納得できる相手か」と無意識に考え、自然とブレーキがかかってしまう。気づけば、恋愛からは遠ざかっていましたね。というより、子育てに没頭していたので、ほかのことを考える余裕なんてなかったというのが正直なところです。