アイドルグループ仮面女子の猪狩ともか(33)が、中国で発生した心肺蘇生(CPR)を巡る一連の議論に対し、自身の見解を表明した。路上で倒れた女性を救命した男性教授が「胸を触った」と非難された事態を受け、猪狩は救命活動そのものへの不当な批判が「助かる命を助けられなくする」と警鐘を鳴らしている。
中国での「救命活動」を巡る議論の波紋
この問題は、香港メディアが報じた内容を猪狩ともかが引用する形でX(旧ツイッター)に投稿したことで広く知られるようになった。記事によると、中国の路上で女性が倒れた際、まず地元の病院の女性医師が心肺蘇生を試みた。しかし、体力の消耗が激しくなったため、周囲に助けを求め、そこに居合わせた42歳の男性医科大教授が交代でCPRを実施したという。その結果、女性は呼吸と脈拍を取り戻し、命は取り留められた。しかし、救命活動の様子を撮影した動画が拡散されると、男性教授は「胸を触った」としてSNS上で激しい非難を浴びることになった。
猪狩ともかが語る「助かる命」への危機感
猪狩ともかは、この事態について「日本以外でもこのような問題が起きていることに驚いた」と述べ、倒れた当事者である女性ではなく「外野が騒ぐのはどうなのか」と強い疑問を呈した。彼女は、救命活動を行った教授に対しては「賞賛こそが相応しい」と断言。このような非難が横行すれば、男性が救命に躊躇するようになり、結果的に「助かるはずの命が助からなくなる」事態を招くと懸念を表明した。さらに、心肺蘇生の現場を動画撮影し、それを拡散すること自体が「おかしい」と厳しく指摘した。
車いすユーザーとして救命活動の重要性を訴える仮面女子・猪狩ともか
自身の経験から訴える「命を救う行動」の重み
猪狩は以前の自身の投稿も引用し、救命活動における誤解や偏見に対する警鐘を改めて鳴らした。過去の投稿では「SNSで『女性が倒れていても助けるな!』『女性にAEDを使うのはリスクが高いから放置すべき』といった声が散見されるのが悲しい」と心境を吐露していた。彼女自身、脊髄損傷を負う事故に遭った際、男性に助けられた経験がある。「もしその男性が上記のような考えの持ち主だったら、私は放置されて今生きていなかったかもしれない」と語り、救助者の行動がいかに尊いかを強調した。「私にAEDが必要でしたら、どうぞ遠慮なく使ってください」と訴え、命を救う行動の重要性を呼びかけている。
まとめ
猪狩ともかの発言は、救命活動に対する社会の認識や偏見、そしてデジタル時代の情報拡散がもたらす負の側面について、改めて議論を促すものと言える。人命救助という最も崇高な行為が不当な批判にさらされる現状に対し、彼女は自身の経験と強い信念を持って、助け合うことの大切さを訴え続けている。