「ニコニコ動画」を運営するドワンゴ創業者である川上量生氏(56)が、政治団体「NHK党」副党首を務める学生投資家、造船太郎氏(21)による同党への1億5000万円の出資問題に対し、X(旧ツイッター)を通じて厳しく問題点を指摘しました。この資金提供は政治資金規正法に抵触する可能性があり、返済保証の甘さについても警鐘を鳴らしています。
川上量生氏が指摘する政治資金規正法違反の懸念
川上氏は、自身のXユーザーに向けた「説教するなら僕より稼いでからにしてください」という造船太郎氏の投稿に対し、「呼ばれたようなので説教しにきました」と応じました。その中で、造船太郎氏が行った資金提供が個人の寄付上限を超えており、政治資金規正法に抵触する可能性が非常に高いと指摘。「あなたがこれで罪を問われるかどうかは分かりませんが、もっと慎重になるべきでした」と、その法的リスクに対する認識の甘さを諭しました。
ドワンゴ創業者・川上量生氏が自身のX(旧ツイッター)に投稿した、NHK党への1億5000万円出資問題に関する見解を示す投稿画面
立花孝志氏との関係と返済保証への疑念
さらに川上氏は、NHK党党首である立花孝志氏と造船太郎氏の間に仮に気が合う部分があったとしても、「立花孝志があなたを裏切らないという保証にはなりません。本当に1億円を返してくれるのかについては甘く考えないほうがいいでしょう。今の彼にとっては喉から手が出るほど欲しいお金のはずです」と述べ、金銭的な返済リスクについても私見を語りました。この投稿の真意については、「立花孝志が約束を守るかどうかに世の中の注意をある程度集めて、あなたに対して、借金の踏み倒しをやらないようなプレッシャーをかけるため」と明確に説明し、公の場での言及が造船太郎氏の利益に繋がる可能性を示唆しました。
造船太郎氏の出資経緯と選挙後の心境
造船太郎氏は4月14日の投稿で、「これからNHK党に1億5000万円出資しますが、7月の参議院選挙で NHK党が政党要件を満たせば3億円になって返ってきて、政党要件を満たさなければ0になります。政党要件は、比例または選挙区(平均)での得票率が2%以上です」と、その大胆な投資計画を明かしていました。また、7月11日にXで公開したYouTube動画では、この1億5000万円が供託金に充てられ、さらに広告費として1億円を投じていることも明かされました。衆院選と参院選の供託金はいずれも選挙区が300万円、比例は600万円と定められています。しかし、参院選投開票後の21日には、党首の立花孝志氏に加え、現職の浜田聡氏の落選確実報道を受け、「1億5000万円溶かしました。しんどいです」「NHK党、(投票率)2%は絶望的ということで、すごい悔しいですね。言葉が出ないです。積み上げたものが崩れるのは一瞬というか、いろいろしんどいです」と心境を吐露し、多額の資金を失ったことへの無念さを表明しました。
結論
今回の川上量生氏による指摘は、造船太郎氏のNHK党への巨額出資が抱える政治資金規正法上の問題、そして立花孝志氏からの返済における現実的なリスクを浮き彫りにしました。若き投資家の大胆な挑戦は、結果的に多額の資金を失う形となり、政治資金の取り扱いに関する透明性と慎重さの重要性を改めて社会に問いかける出来事となりました。