政治家狙いのSNS「危険投稿」が急増、警視庁が警告も実効性への懸念

先の参議院選挙は自民党の大敗に終わり、SNSの活用が注目される中、警視庁は選挙期間中の約1か月間で、候補者等に対する殺害予告を含む「危険投稿」が889件に及んだことを明らかにしました。これらの投稿には、公然と危害を加える旨を示すものや、「山上する」といった隠語めいた言葉も含まれており、その悪質性が浮き彫りとなっています。特に、石破茂氏のSNSには、殺害を予告する隠語や誹謗中傷が多数寄せられていたことが報じられており、警視庁は危険性の高い投稿者に対して直接警告を行った事例もあるとされています。

相次ぐ政治家への殺害予告と誹謗中傷

石破茂氏のSNSには現在も、「くたばれ」「Go to hell!」「射殺はよして」「石破さんしんでください!」「あんた暗殺されても知らんよ」「息を吸うように嘘ばかりつくし、言ってることは支離滅裂だし、さっさと消えてくれ」といった、看過できない誹謗中傷や殺害予告の投稿が散見されます。このような状況に対し、ネット上では「警告で済ませるのは不甲斐ない」「殺害予告は逮捕すべき」といった、警察の対応への不満の声が多数上がっています。

安倍元首相の事件と相次ぐ事案

この問題は、安倍晋三元首相が前回の参院選の街頭演説中に襲撃された凄惨な事件があったにもかかわらず、危険な投稿が収まるどころか、むしろ過熱しているという深刻な現実を浮き彫りにしています。実際に、今回の参院選で当選した元NHKアナウンサーの牛田茉友氏も、「身の危険を感じる事案」が複数回発生したことから、街頭演説などの事前告知を一時中止しました。牛田氏を乗せた車が長時間にわたって追尾されるといった事案も報告されており、政治活動における身の危険が具体的に示されています。

政治家への危険投稿問題で取り上げられる石破茂氏政治家への危険投稿問題で取り上げられる石破茂氏

もちろん、こうした投稿に対して危機感を抱き、「安倍元総理の事件から数年経っても、こうした投稿が後を絶たないのは残念だ。表現の自由は大切だが、脅迫や殺害予告は許されない」と冷静な意見を述べるユーザーも多く存在します。しかし、街頭演説に限らず、現代は個人の居場所が容易に特定されてしまう時代であり、警察による注意や警告だけでは、こうした行為に対する十分な抑止力となっているか疑問が呈されています。

求められる実効性のある対策

今回の事態は、単なる警告では済まされない状況に達している可能性を示唆しています。安倍元首相の事件のような「最悪の事態」が二度と起こらないよう、より実効性のある対策が警察当局に強く求められています。インターネット上での表現の自由と、安全な政治活動の場を確保することのバランスをいかに取るか、社会全体で真剣に考えるべき時が来ています。

参考文献