【AFP=時事】米ホワイトハウスは23日、バラク・オバマ元大統領がドナルド・トランプ大統領に対する「反逆的な陰謀」を主導したという主張をあらゆる手段を尽くして宣伝し、性的搾取目的の人身取引などの罪で起訴された米富豪、故ジェフリー・エプスタイン元被告(勾留中に自殺)の事件への対応をめぐる騒動から国民の目を逸らそうとした。
トゥルシ・ギャバード国家情報長官はホワイトハウスでの記者会見で、オバマ氏による「長年にわたるクーデター」があったと述べた。
この異例の主張は、2016年大統領選にロシアが干渉したとされる疑惑は「でっち上げ」だったとの主張を実質的に蒸し返したものだ。ロシアはトランプ氏をヒラリー・クリントン氏に勝たせるために介入したとされる。
ギャバード氏は、新たに機密解除された情報によって、オバマ氏がロシアによる選挙介入を非難するためにインテリジェンス評価の操作を命じたとする「反論の余地のない証拠」が提供されたと主張した。
司法省も、ロシア疑惑を「最大限の真剣さ」調査するため、「特別捜査班」を結成すると発表した。
ギャバード氏の主張は、2019年~2023年に行われた司法、防諜(ぼうちょう)、監視機関による四つの捜査結果に反するとして、広く批判されている。四つの捜査はすべて、ロシアが2016年大統領選に介入し、さまざまな形でトランプ氏を支援したという結論に至っている。
エプスタイン事件に対するトランプ氏の対応をめぐって高まる臆測から目をそらす手段として、オバマ氏に対する告発は一定の効果を発揮した。
ホワイトハウス番の記者たちは会見でエプスタイン事件についてほとんど質問せず、ギャバード氏の主張に焦点を当てた。一方、FOXニュースは右派の視聴者に向けてオバマ氏の疑惑を大々的に報じた。
だが、エプスタイン事件はすぐに再燃し、トランプ氏がいつものように巧妙に論点をずらし続けることがいかに難しいかを露呈した。今回はトランプ氏の熱烈な支持基盤である「米国を再び偉大に(MAGA)」の人々でさえだませなかった。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は23日に報じたところによると、ボンディ氏は5月、トランプ氏に対し、犯罪の兆候はなかったが、「エプスタイン・ファイル」にトランプ氏の名前が複数記載されていると伝えた。
スティーブン・チャン大統領報道官はこれを「フェイクニュース」と呼び、トランプ氏はずっと前にエプスタイン元被告との関係を絶ち、「変質者としてトランプ氏の社交会から追い出した」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News