米国と日本は22日(現地時間)、電撃的に関税交渉を妥結させました。当初25%と予告されていた日本に対する相互関税は15%に引き下げられ、その見返りに日本は米国へ5500億ドル(現在のレートで約81兆円)規模の投資、コメの追加輸入、米国製自動車やトラックの市場開放を約束しました。アラスカの液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの共同投資も視野に入っています。交渉が難航していると報じられていた両国の合意は、同様に米国との貿易交渉を進める韓国にとって、その立場を一層急迫させるものとなりました。これで米国と交渉を終えた国は、同日に合意したフィリピンを含め、英国、ベトナム、インドネシア、そして日本の計5カ国に増加しました。
世界経済に影響を与える貿易協定のイメージ
トランプ大統領と石破首相の発言に見る合意の全容
ドナルド・トランプ大統領は22日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通じて、「日本と歴史上最大規模の取引を完了した」と発表しました。大統領は、日本の5500億ドル投資により発生する利益の90%以上を米国が享受し、今回の合意で数十万を超える雇用が創出されるだろうと強調しました。
一方、石破茂首相も同日、「相互関税を15%に引き下げ、日本製自動車に対する関税も12.5%にとどめた」と明らかにしました。米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいない日本は、通常、自動車輸出時に2.5%の基本関税が別途課されますが、それを除くと25%だった自動車関税が大幅に半減された形です。石破首相は、今回の合意が対米貿易黒字を抱える国の中でこれまでで最も低い相互関税率であり、「世界に先がけ数量制限のない自動車・自動車部品関税の引き下げを実現することができた」とコメントしました。また、半導体や医薬品など、将来的に品目別関税が課される可能性のある品目についても、日本が他の国に劣後する扱いとならないよう確約を得たことを明らかにしました。
日本が米国に約束した具体的な支援と投資
米ブルームバーグ通信は、今回の交渉妥結の詳細について具体的な数字を報じています。日本は「米国企業関連の防衛費支出」を年間140億ドル(約2兆500億円)から170億ドル(約2兆4900億円)に増額することに合意しました。さらに、コメの輸入量を75%増加させるほか、ボーイングの航空機100機を購入し、農産物およびその他の米国製品を80億ドル分(約1兆1700億円)購入することも約束したと伝えています。これらの投資と市場開放は、米国の貿易赤字削減と国内産業の活性化に大きく寄与すると見られています。
日米妥結が韓国に突きつける新たな課題
日本の交渉妥結は、韓国政府にとって大きな負担となることが懸念されています。日本と韓国は産業構造や主要な輸出品目が類似しているため、米国が日本に要求した農産物の輸入増加や対米投資の拡大といった分野で、当初予想されていたよりもはるかに大きな要求を韓国も受け入れざるを得なくなる可能性が提起されています。これにより、韓国は今後の米国との貿易交渉において、より厳しい立場に立たされることが予想され、経済的な圧力が一層高まることになります。
今回の米国と日本の関税交渉の妥結は、両国に大きな経済的利益をもたらす一方で、米国の貿易政策が世界の経済秩序に与える影響の大きさを改めて示しました。特に、類似の経済構造を持つ国々にとっては、今後の貿易交渉戦略の見直しが喫緊の課題となるでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース – 米国と日本が電撃的に関税交渉を妥結させた…韓国の立場は急迫(朝鮮日報日本語版)
- 朝鮮日報日本語版
- ブルームバーグ通信 (Bloomberg News)
- トゥルース・ソーシャル (Truth Social)