歌舞伎俳優 五代目片岡我當さん死去、享年90歳 上方歌舞伎の継承に尽力

歌舞伎俳優の五代目片岡我當(かたおか・がとう、本名:片岡秀公=ひできみ)さんが、5月11日午後4時37分、肺炎のため東京都内の病院で死去されました。享年90歳でした。上方歌舞伎の重鎮として長年活躍し、その芸と後進の育成に多大な貢献をされた片岡我當さんの訃報は、歌舞伎界に深い悲しみをもたらしています。葬儀は近親者のみで執り行われました。

歌舞伎俳優、五代目片岡我當さんの生前の姿を捉えた肖像写真。歌舞伎俳優、五代目片岡我當さんの生前の姿を捉えた肖像写真。

歌舞伎界の重鎮としての生涯

片岡我當さんは東京都出身で、人間国宝である十三代目片岡仁左衛門さんの長男として生まれました。故片岡秀太郎さん、そして現在の片岡仁左衛門さんは実弟にあたります。1940年に初舞台を踏み、1971年に五代目片岡我當を襲名しました。以来、上方歌舞伎の中心的な存在として、立役(男役)を務め、その卓越した演技力で多くの観客を魅了し続けました。

情熱的な芸と上方歌舞伎への貢献

我當さんは、父である十三代目仁左衛門さんの代表作であった「沼津」の平作や、「新口村」の孫右衛門など、数々の役を情深く演じ、観客に深い感動を与えました。特に、上方歌舞伎の継承と発展には並々ならぬ情熱を注ぎ、若手俳優が中心となる「上方歌舞伎会」などを通じて、後進の育成に尽力されました。また、関西圏の学生をはじめとする初心者向けの公演「歌舞伎鑑賞教室」にも長年にわたり取り組み、歌舞伎の普及にも貢献されました。

最後の舞台と功績の集大成

2020年2月に東京・歌舞伎座で行われた公演への出演が、片岡我當さんにとって最後の舞台となりました。生涯を歌舞伎に捧げ、その伝統を守り、次世代へと繋ぐために尽力された我當さんの功績は計り知れません。

片岡我當さんの逝去は、日本の伝統芸能である歌舞伎、特に上方歌舞伎にとって大きな損失です。その情熱的な舞台姿と、後進の育成に尽くした功績は、歌舞伎界に永く語り継がれていくことでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

参考資料