土肥金山「世界最大250kg金塊」展示終了へ:金価格高騰と管理リスク増大

かつてギネス世界記録にも認定された、静岡県伊豆市・土肥金山の「世界最大250kg金塊」展示が、約20年の歴史を終えます。金価格の高騰、管理負担、盗難懸念が主な中止理由として挙げられています。

「世界最大」の金塊とその歴史

日本のアベマタイムズによると、土肥金山は今月31日をもって、鉱山内の代表的観光名物である250kg金塊の展示を中止します。この金塊は三菱マテリアルが2000年のミレニアムを記念して鋳造、2005年から土肥金山で展示され、2006年には「世界最大の金塊」としてギネス世界記録に正式登録されました。底面は縦45.5センチ、横22.5センチ、高さ17センチの台形形状です。現在の世界最大金塊の記録は、2024年2月にドバイで製作された300.12キロの金塊が保持しています。

金価格急騰と増す管理コスト・盗難リスク

土肥金山側は展示中止の背景として、金価格の上昇、盗難リスク、管理負担を挙げています。土肥金山の国分歩課長は、「金価格だけでなく、物価や人件費も上昇し、金塊管理にかかるコストが耐え難くなっている。不安定な社会情勢の中で、スタッフの安全や盗難の懸念も高まっている」と説明しました。今年に入り、日本国内の金価格は史上最高値を更新し、急騰を続けており、現在では1グラム当たり1万7678円に達しています。これにより、当該金塊の評価額も20年間で当初の約4億円から約44億円へと約11倍に跳ね上がりました。

静岡県土肥金山展示館に展示されていた250kgの巨大金塊。ギネス世界記録に登録された歴史を持つ「世界最大金塊」が展示終了。静岡県土肥金山展示館に展示されていた250kgの巨大金塊。ギネス世界記録に登録された歴史を持つ「世界最大金塊」が展示終了。

日本国内での金関連犯罪の増加

金価格の高騰に伴い、日本では金を狙った犯罪も相次いでいます。今年1月には三菱UFJ銀行で社員が約2億8000万円相当の金塊を盗む事件が発生し、昨年も東京のデパートで約1000万円相当の純金製茶器が盗まれる事件が起きました。このような国内の貴金属関連犯罪の増加も、土肥金山が展示中止を決定した要因の一つと考えられます。

今後の展望:複製品への移行

展示終了後、土肥金山に展示されていた250キロの金塊は、親会社である三菱マテリアルに返却される予定です。そして、その代わりに、施設内にはこの巨大金塊の複製品が展示品として置かれることになります。これにより、来場者は引き続き世界最大級の金塊の迫力を体験できるものの、実物の展示は惜しまれつつもその役目を終えることになります。