韓国建設業の不況が雇用市場を直撃し、今年上半期の就業者数は、通貨危機後の1999年以来で最大となる大幅な減少を記録しました。この深刻な状況は単なる業界問題に留まらず、韓国経済全体の回復を阻む大きな足かせとなりつつあります。
記録的な雇用減少の規模
韓国統計庁によると、今年上半期の建設業就業者数は193万9000人で、前年比14万6000人減少しました。これは通貨危機後の1999年上半期以来26年ぶりの大幅減であり、2009年の世界金融危機時をも上回る規模です。昨年下半期も10万2000人減少した結果、就業者数は5年ぶりに200万人を割り込み、2016年下半期以来の低水準となりました。この雇用不振は、50代の中高年層(構造調整)と20代の青年層(新規採用減少)に特に顕著です。
ソウルのマンション群と建設業の不況、雇用市場への影響を示す光景
不況の根源と経済への波及
建設業不振の背景は、プロジェクトファイナンス不良、高金利、高物価です。建設既成(工事実績)は昨年4~6月期から4四半期連続で減少し、「1997年8月以降最悪の長期沈滞」と韓国建設産業研究院は評価しています。この不振は韓国経済全体に波及し、今年1~3月期のGDP成長率マイナス0.2%のうち、建設投資が0.4ポイント引き下げました。韓国開発研究院(KDI)も、建設業不振と米国の関税引き上げが「持続的な景気下方圧力」となると警鐘を鳴らしています。
政府対策と専門家の見通し
韓国政府は今年第2次追加補正予算でインフラ予算8475億ウォンを追加し、建設景気活性化を図る方針です。しかし、現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、「2022年までの供給過剰が尾を引いており、地方不動産の回復や大規模住宅供給なしには景気回復は困難」と指摘。加えて、「民生クーポン等の消費刺激策だけでは、雇用に大きな影響を与える建設業の不振が続く限り、経済回復は容易ではない」と厳しい見方を示しています。
韓国建設業の雇用不況は通貨危機以来の深刻さで、経済全体に重くのしかかっています。プロジェクトファイナンス不良、供給過剰、高金利・高物価が回復を阻害。政府対策も不十分であり、地方不動産の回復や大規模供給なしには経済全体の回復は困難だと専門家は指摘します。この動向は、今後の韓国経済の行方を占う極めて重要な指標となるでしょう。
情報源:
本記事の情報は、以下の信頼できる機関のデータおよび分析に基づいています。
- 韓国統計庁
- 韓国建設産業研究院
- 韓国開発研究院(KDI)
- 現代経済研究院