フランスのエマニュエル・マクロン大統領は23日、ブリジット夫人に関する「男性説」の流布が虚偽であるとして、米国の女性インフルエンサーを名誉毀損で提訴しました。複数の欧米メディアがこの訴訟を報じており、マクロン氏らは「視聴者数を増やし、金銭を稼ぐために誹謗中傷を行っており、これは容認できない」と厳しく批判しています。
虚偽情報拡散の経緯と主張内容
マクロン大統領夫妻が米デラウェア州の裁判所に訴えを起こしたのは、キャンディス・オーウェンス氏です。英紙ガーディアンによると、オーウェンス氏は自身のポッドキャスト「Becoming Brigitte(ブリジットになる)」と題した全8回のシリーズの中で、「ブリジット氏は男性として生まれ、後に他人の身分を盗んで『ブリジット』になった」と主張していました。
オーウェンス氏はさらに、マクロン大統領とブリジット夫人には血縁関係があり近親相姦にあたる、またマクロン氏が米中央情報局(CIA)によって作り出された大統領であるなど、複数の根拠のない主張を展開しています。2024年には、オーウェンス氏自身が「ブリジット氏が男性であることに自分の職業的評判の全てをかける」とまで明言していました。これに対し、英紙フィナンシャル・タイムズは、マクロン氏らが裁判所に出廷する用意があることを報じています。
日本におけるこのような虚偽情報の流布は、深刻な社会問題となっています。インターネットやSNSの普及により、真偽不明な情報が瞬く間に拡散される現代において、今回の訴訟は、個人に対する誹謗中傷やデマの責任を問う重要な事例となるでしょう。
マクロン仏大統領夫妻の虚偽情報に関する訴訟
「ブリジット氏男性説」を巡っては、フランス国内でも同様の訴訟が進行しており、一度は名誉毀損を認めた一審判決が覆されたため、ブリジット夫人は現在も上級審で訴えを続けています。
ブリジット夫人の背景と夫妻の関係を巡る憶測
ブリジット夫人はマクロン大統領の高校時代の恩師であり、年齢はマクロン氏より25歳年上です。マクロン氏と出会った時点ですでに3人の子供がいましたが、その後離婚しマクロン氏と結婚しました。
最近では、夫妻の関係を巡る様々な憶測も報じられています。今年5月にベトナムに到着した際の専用機内で、ブリジット夫人がマクロン氏の顔を両手で押し上げる映像が流出。また、今月8日には、国賓として訪問した英国への到着時に専用機からタラップを降りる際、マクロン氏が差し出した手をブリジット夫人が「無視」したとする様子が報じられ、欧州では夫妻の不仲説が浮上していました。これらの報道は、今回の名誉毀損訴訟とは直接関係ありませんが、夫妻への関心の高さを示しています。
まとめ
今回の提訴は、公人が虚偽の情報を拡散するインフルエンサーに対し、名誉毀損の責任を追及する明確な意思表示と言えます。特に、インターネット上でのデマや陰謀論が社会に与える影響が大きくなっている現代において、真実に基づかない情報によって個人の名誉が傷つけられることに対する法的措置の重要性を示唆しています。この訴訟の行方は、今後のデジタル時代の情報倫理や、表現の自由と個人の尊厳のバランスを考える上で、国際的な注目を集めることになるでしょう。
参照元:
- Yahoo!ニュース: フランスのマクロン大統領は23日、ブリジット夫人を「男性だ」とする情報発信は虚偽だとして、名誉棄損で米国の女性インフルエンサーを提訴した。複数の欧米メディアが報じた。(記事リンク: https://news.yahoo.co.jp/articles/712d859e3575200704401c3c503b60507e7e3d32)
- SankeiBiz: マクロン仏大統領が夫婦げんか? 夫人が顔を押し上げる映像(記事リンク: https://www.iza.ne.jp/article/20250527-STEFLT77CJKJ7A4V3WMZMRZHTU/)