パレスチナ国家の承認、英独首脳は応じずか 電話協議で溝浮き彫りに


【図解でわかる】データでみるガザ地区の人道状況

 ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が長期化し、民間人の犠牲者が増える中、英仏独はイスラエルへの連帯を示してきた立場を修正し、批判を強めている。ただ今回の協議で、和平実現の道筋を巡る溝も浮き彫りになった。

 マクロン氏は24日、9月の国連総会にあわせて、パレスチナ国家の承認を正式に発表すると言明。イスラエルと米国は強く反対した。

 スターマー英首相はマクロン氏から同調を求められている。だが、電話協議後の単独の声明では、パレスチナ国家の承認は、イスラエルとパレスチナの共存を目指す「2国家解決」に向けた「より広範な計画の一部でなければならない」と述べ、慎重な姿勢を堅持した。対米関係などに配慮しているためとみられる。

 独政府も25日、「短期的に国家承認する予定はない」との声明を出し、停戦を優先させる方針を強調した。

 ガザでは激しい戦闘が続き、食料や医薬品の不足も深刻化している。英BBC放送などによると、ガザの保健当局は25日、過去24時間に9人が餓死し、2023年10月の戦闘開始以降の餓死者は子供83人を含む122人に上っていると明らかにした。妊婦6万人以上を含む約60万人が栄養失調の状態だという。

 世界各地の100以上の人道支援団体は23日に共同声明を発表し、イスラエルによるガザ封鎖が「飢餓や死を生み出している」と非難している。

 英仏独首脳は25日の共同声明で、イスラエルに対し、国連や人道支援NGOが飢餓に対処するため早急に活動できるようにすることも要請。一方、ハマスについては、拘束している人質の即時かつ無条件の解放を求め、「ガザの将来においていかなる役割も果たすべきではない」とした。【ロンドン福永方人】



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