林佳龍台湾外交部長の異例訪日、中国が厳重抗議 – 関係深化と地域情勢の波紋

台湾の外交トップである林佳龍外交部長が異例の日本訪問を行い、日本の要人らと相次いで面会していたことが明らかになりました。外交関係のない台湾の現役外交部長の訪日が公になるのは極めて異例であり、これに対し中国外務省は日本側に「強烈な抗議」を申し入れたと発表し、日中台関係に新たな緊張をもたらしています。

林外交部長の日本訪問と要人との面会

台湾メディア・中央通信の報道によると、林佳龍外交部長は7月25日までに日本を訪れ、高市早苗前経済安全保障担当相や、日本の超党派議員で構成される「日華議員懇談会」の古屋圭司会長らと面会しました。古屋氏が自身のSNSに林氏や高市氏と共に写る写真を投稿したことで、この訪日が公に判明しました。現役の台湾外交部長が外交関係のない日本を公に訪問し、日本の政治家と面会した事実は、これまでの慣例を大きく逸脱するものです。林外交部長は一連の面会の後、大阪・関西万博の視察も予定していると報じられています。

日本を訪問した林佳龍台湾外交部長、高市早苗前経済安保相、古屋圭司日華議員懇談会会長が笑顔で並ぶ様子。日本を訪問した林佳龍台湾外交部長、高市早苗前経済安保相、古屋圭司日華議員懇談会会長が笑顔で並ぶ様子。

中国政府の強硬な抗議

林外交部長の訪日に対し、中国政府は即座に強い反発を示しました。中国外務省は7月25日、劉勁松アジア局長が在中国日本大使館の横地晃次席公使に対し、「強烈な抗議」を申し入れたことを明らかにしました。劉局長は、日本側が林氏の訪日を容認し、「反中・分裂の政治活動に舞台を提供したことは、誤ったメッセージを発するものだ」と厳しく批判しました。さらに、東京にある中国大使館も翌26日に声明を発表し、「日本は中国からの事前の申し入れを無視し、入国させており、決して容認できない。日本側の対応を注視し、今後さらなる対応を取る」と述べ、今後の対応を示唆する異例の抗議文を公開しました。

今後の動向と地域への影響

今回の林外交部長の日本訪問は、日台関係の深化を示す一方で、日中関係に新たな亀裂を生じさせる可能性があります。中国が台湾を自国の領土の一部と見なし、「一つの中国」原則の堅持を求めている中、日本の現役政治家が台湾の要人と公に接触することは、中国側の強い反発を招くことは避けられません。今後、中国が日本に対しどのような「さらなる対応」を取るのか、そして日台間の非公式な交流がどのような形で進展するのかが注目されます。地域情勢の安定に与える影響も懸念されており、関係各国の動向が引き続き注視される状況です。

参考文献