伊東市 田久保市長不信任案:共産党市議が明かす保留理由と疑惑の「グレー」

静岡県伊東市議会は、百条委員会による田久保眞紀市長の刑事告発を受け、9月1日からの定例会で不信任決議案の審議を進める方針です。市議19人中18人が賛成の意向を示す中、唯一態度を保留しているのが「市長派」と目される共産党のベテラン市議、重岡秀子氏です。なぜこの状況で田久保市長を擁護する姿勢を見せるのか、本紙は重岡氏に直接取材しました。

伊東市の田久保眞紀市長。不信任決議案を巡る疑惑の中心人物。伊東市の田久保眞紀市長。不信任決議案を巡る疑惑の中心人物。

「疑惑はグレーのまま」 百条委調査への疑問

重岡市議は、不信任決議案への態度保留について、「百条委員会の結果をしっかり見てから判断したい」と述べ、田久保市長を擁護しているわけではないと強調しました。彼女が態度を決めかねている最大の理由は、自身も委員として参加した百条委員会において、「結局、疑惑はグレーのままで解明が進展しなかった」と感じているためです。

特に、市長の卒業証明書を巡る「チラ見せ」や「19.2秒」といった具体的な状況についても、「どちらが本当のことを言っているか分からない」と指摘。真相が不明瞭なままであることに強い疑問を呈しました。

青木副議長証言の変化と重岡市議の認識

重岡市議は、市長が中島弘道議長と青木敬博副議長に卒業証書を見せた翌日、青木副議長と会話した際の状況を明かしました。その際、青木副議長は「偽造の技術は発達しているから何とも言えない。古めかしい紙で自分には偽造とは思えなかった」と語っていたといいます。しかし、後にこの話は「チラ見せだった」となり、回数も「1回」から「2回」へと変化していったと重岡市議は述べています。

重岡市議は、もし双方が音声記録を持っているならば、照合した上でどちらの主張が正しいのかを正確に見極める必要があると訴えました。これに対し青木副議長は、「確かにチラ見した時は本物のように見えたので、重岡議員にそのような感想を話したのは事実です。ただその後、本物の卒業証書と見比べて自分たちが見たものと明らかに違うと考えが変わり、重岡議員には本物を見せた上で説明しています」と反論しています。

伊東市議会で田久保市長の不信任決議案に対する態度を保留する共産党の重岡秀子市議。伊東市議会で田久保市長の不信任決議案に対する態度を保留する共産党の重岡秀子市議。

市長自身も「卒業を信じていた」との見解

重岡市議は、市長が東洋大学で除籍を確認する数日前、市長の自宅でパートナーを通じて卒業証明書を確認させてもらった経験についても語りました。彼女自身の目にはその時、証明書が「本物に見えた」といいます。

さらに、6月28日に東洋大学による除籍が明確になるまでは、田久保市長が自身だけでなく、広報課長や一部マスコミ、メガソーラー事業関係者にも卒業証明書を見せていた事実を指摘。「あの時点において市長は自分が卒業していると信じ込んでいたと私は思っています」と、市長が自身の学歴を詐称していたというよりは、誤解に基づいて行動していた可能性を示唆しました。

これらの発言から、重岡市議は、核心的な疑惑が完全に晴れない限り、不信任決議という重大な判断を下すべきではないという立場を取っていることが明らかになりました。


参考文献