近年の日本株市場は、目まぐるしい変動と高値更新が続いています。特に個人投資家にとっては、その動向をいかに捉え、賢明な投資判断を下すかが重要な課題となっています。本稿では、直近の市場動向を振り返りながら、専門家が示す日経平均株価の目標値と、現在の「バブルの匂い」とも言われる状況下での投資戦略について深く掘り下げていきます。
直近の日本株市場の動きと個人投資家の判断
2024年8月15日、日本株市場は日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)が揃って最高値を更新しました。この動きの裏側では、外国人投資家が記録的な連続買い越しを続ける一方で、日本の個人投資家は保有株を売り上げるという対照的な動きが見られました。筆者が以前の記事で「日経平均4万0200円は買い」と指摘した8月4日という絶好の買い戻し機会があったにもかかわらず、多くの個人投資家がそのチャンスを逃してしまった可能性があります。
翌8月5日から13日までの5連騰で市場は容易に史上最高値を更新し、押し目買いを待っていた投資家は、買い場を見失い、結果的に持ち株を減らしてしまったかもしれません。さらに、8月14日の625円安で一旦上昇が止まり、押し目を期待したものの、翌15日(金)には729円高と大幅に反発。この動きに「慌てずにホールドしていればよかった」と後悔している方も少なくないでしょう。しかし、高値圏で手持ち株を減らすことは投資の王道の一つであり、後悔する必要はありません。重要なのは、今後の相場展開を正確に見極めることです。
専門家が示す日経平均の目標値とその根拠
筆者が昨年末に各メディアで提示した今年の高値目標は4万7000円でした。これは、企業業績の増益予想に基づき、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の最高値を2700円に設定し、さらに「上昇期待値」である予想PER(株価収益率)のピークを昨年7月の17.5倍と想定。これら二つの数値を掛け合わせることで、日経平均は4万7250円という算出がされました。
しかし、4月に発生した「トランプ相互関税ショック」が市場に影響を与えたことで、EPSは2600円に、PERは17倍へと小幅に下方修正されました。この修正の結果、筆者の日経平均最高値目標は4万4200円となっています。現在の市場の動きは、この修正後の目標値へと着実に近づいている状況と言えるでしょう。
日経平均株価の推移と市場の「バブルの予感」
「トランプ関税ショック」以降の株価波動分析
「トランプ関税ショック」によって、日経平均は2024年4月7日に引け値3万1136円で底値をつけました。この底値を起点として以降の株価の動きを波動で分析すると、市場は明確な上昇トレンドを示しています。
具体的には、
- 第一段階: 4月7日の底値から5月13日の3万8183円まで。
- 第二段階: 5月22日の3万6985円まで一時的に押した後に反発し、7月24日の4万1826円まで。
- 第三段階: 8月4日に4万0290円まで押した後の現在の上昇局面。
このように、日経平均は底値からの回復において三段階の上昇波形を描いており、現在の上げは第三段階に当たります。専門家は、これらの波動分析と目標値の設定に基づき、当面の目標は近づいているものの、現段階で市場に対して弱気になる必要はないと見ています。
結論
現在の日本株市場は最高値圏にありますが、専門家の見解によれば、日経平均は依然として上値余地を秘めています。過去の経験則や分析に基づいた目標値4万4200円への接近は、投資家にとって決して悲観すべき材料ではありません。市場の短期的な変動に一喜一憂することなく、高値での利益確定は投資の基本としつつ、今後の相場の本質的な方向性を見誤らないことが重要です。現在の「バブルの匂い」を感じつつも、冷静な視点と長期的な戦略をもって市場に向き合うことが、成功への鍵となるでしょう。
参考資料
- Yahoo!ニュース: 「日経平均4万4200円」でも弱気になる必要はない…個人投資家が「バブルの匂い」にどう向き合うか (2024年8月18日掲載) https://news.yahoo.co.jp/articles/749cd0b3cbe500f659074750d7b1a37f30eb33ed