来る8月1日の米国関税発動日が目前に迫り、国際貿易の舞台では米国と主要貿易相手国との緊迫した交渉が最終局面を迎えています。特に欧州連合(EU)や中国といった経済大国との協議は時間との戦いとなり、その進捗は世界経済に大きな影響を及ぼすと予測されます。
ドナルド・トランプ米国大統領がスコットランドのゴルフ場でプレーする様子。英国訪問中の大統領は、貿易交渉を含む重要会談を控えている。
EUとの貿易交渉:自動車関税合意への最終段階
ドナルド・トランプ米大統領は7月27日(現地時間)、スコットランドを訪問中にEU欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長と会談し、貿易交渉の最終調整に入りました。米国とEUを構成する27加盟国との間の貿易交渉は、すでに「9合目」を越えた状態と見られています。現地では、交渉に先立ち、自動車を含むEU産製品に対して15%の関税を課す案で合意に至る可能性が高いと報じられています。米商務長官や米通商代表部(USTR)代表ら主要な交渉担当者も、この高位級貿易会談のため26日にスコットランドに移動しており、トランプ大統領自身も25日のホワイトハウス出発時には、EUとの交渉妥結について「50対50の可能性がある」と述べていました。
米中貿易会談:関税「チキンゲーム」の緩和と重要合意
米国はさらに、7月28日から29日にかけてスウェーデンのストックホルムで中国との高位級貿易会談を予定しています。かつて関税を巡る「チキンゲーム」を繰り広げていた米中両国は、今年5月のスイス・ジュネーブでの貿易会談において、互いに課していた100%を超える関税をそれぞれ115%ポイントずつ90日間引き下げることで合意に至りました。続く6月の英国ロンドンでの第2回高位級貿易会談では、中国による対米レアアース輸出統制と、米国の高性能AI半導体「H20」の対中輸出統制をそれぞれ解除することでも合意が形成されました。トランプ大統領は25日、中国との交渉について「合意の輪郭はすでに整っている」と前向きな雰囲気を伝えており、ストックホルム会談には米財務長官を含む貿易交渉の中核メンバーが全員参加する予定です。
米韓協議:25%関税発動の最終通告
これら相次ぐ多忙な主要国との交渉日程を考慮すると、8月1日までに米国と高位級通商協議を行うことが可能な現実的な日程は、今月30日と31日のわずか2日間しか残されていません。米ホワイトハウスは、中央日報からの韓米協議に関する質問に対し25日、「韓国と生産的な協議を継続している」と回答。米国が両国間の貿易交渉の局面において「生産的」という表現を用いたのは、これが初めてのことであり、注目されました。しかしホワイトハウスは同時に、「(両国間で)他の合意が成立しない場合、(トランプ)大統領の書簡が最終的な決定事項となる点に変わりはない」と明確に付け加えています。これは、もし8月1日までに米韓間の貿易交渉が妥結に至らない場合、トランプ大統領が今月7日に公表した、いわゆる「関税書簡」の内容通り、8月1日から韓国産製品に対して25%の関税が一方的に課されることになる、という最終通告を意味します。
間近に迫る8月1日の期限に向けて、米国はEU、中国、そして韓国との貿易交渉を急ピッチで進めています。これらの多国間協議の結果は、国際貿易秩序と各国の経済状況に大きな影響を及ぼすことは必至であり、今後の展開が国際社会全体から注視されています。