2025年の参院選で当選を果たした弁護士の北村晴男氏が7月27日、自身のX(旧Twitter)に石破茂首相に関する批判を投稿し、政界に大きな波紋を広げています。今回の発言は事実誤認が含まれていただけでなく、公職にある人物の品位を問うものとして、多方面から厳しい視線が向けられています。
北村議員の石破首相批判とその背景
北村晴男議員は、先の参院選で日本保守党公認の比例区から出馬し、当選したばかりです。その彼が7月27日に自身のXを更新し、石破茂首相を痛烈に批判しました。北村議員はネット上のまとめサイトを引用する形で、「国民の審判は既に下った。この『解散するぞ!』ポーズは自民党衆議院議員への脅し。どこまでも醜い、奇妙な生き物」と投稿しました。
しかし、この批判の根拠とされた映像は、実は昨年8月に日本テレビのニュースで報じられたキャプチャ画像であり、石破氏が自民党総裁に就任する前の発言でした。当時の石破氏は、「自民党の新総裁と首相に選出された場合、一通り衆参の本会議、予算委員会で論戦をし、国民の審判を受ける」と発言しています。これを日テレ側が「国会で一定の審議を行った後、衆院の解散総選挙に踏み切る考えを示す」と字幕で解説したものでした。つまり、石破氏自身が「解散する」と明言したわけではないにもかかわらず、北村議員はこれを曲解し、さらに約1年前の映像を最近の発言と誤認している可能性が高いと指摘されています。
参院選で当選後、石破茂首相を巡るX投稿で物議を醸す北村晴男弁護士議員
世論と法曹界からの厳しい声
事実に基づかない情報に加え、法曹資格を持つ国会議員が「醜い」「奇妙な生き物」と表現するような人格攻撃を行ったことに対し、インターネット上では批判の声が相次ぎました。SNSには「石破支持ではないが、弁護士資格を持つ北村さんが誹謗中傷はあり得ない」「国会から退場してほしい」「人が変わりすぎて怖い」といった、多くの苦言が寄せられています。
当然のことながら、同じ法曹界からも厳しい視線が注がれました。弁護士出身で政治家経験のある橋下徹氏も7月28日、自身のXで北村議員の発言記事をリポストし、批判を展開。「およそ税金で飯を食っていく国会議員とは思えない。これまでは単なる一弁護士で好き勝手に言えたが、これからは税金で飯を食っていく公人の国会議員だ。発言の仕方を一から勉強しろ」と、公人としての自覚を促しました。
橋下徹氏の過去の「舌禍」と共通点
しかし、橋下氏自身も現役の政治家時代には、数々の舌禍事件を起こしてきた「舌禍の常習犯」として知られています。例えば、大阪府知事時代の2008年には、NHKへの生出演に公務で遅れたことを番組内で強調されると激怒し、「今後一切NHKのスタジオには行きません」と絶縁を宣言。また、大阪市長時代の2013年には慰安婦問題を巡り「慰安婦制度は必要だった」と発言し、国際的な批判を浴びて訪米予定がキャンセルになる事態にまで発展しました。政界を去った後も、その過激な物言いは続いています。
このような北村議員と橋下氏の共通点の一つは、今年3月に終了した日本テレビ系の人気番組『行列のできる相談所』への出演経験があることです。『行列』出身で政界に進出したのは、橋下氏、丸山和也氏に続いて北村氏が3人目となります。芸能関係者の間では、いずれの議員も番組で培った「毒舌キャラ」や「テレビキャラ」を、現在の政治活動にも引きずっているのではないかという見方が広がっています。
「テレビキャラ」の呪縛と政治家の品位
視聴者に受ける過激な発言は、テレビ番組においてはエンターテインメントとして成立するかもしれませんが、政治家に求められる品位ある言動とは全く別物です。特に、昨今社会問題となっている誹謗中傷を糾弾する立場である弁護士が、自ら人格攻撃を行うことは、その信頼性に関わる問題として重く受け止められるべきでしょう。
北村議員も政界進出前から自身のYouTubeチャンネルで舌鋒鋭く世相を斬っていましたが、国会議員という公職の立場では、一私人としての発言とは一線を画す必要があります。
結論
今回の北村晴男議員による石破茂首相へのX投稿は、事実誤認と人格攻撃という二重の問題をはらみ、新米議員としての資質が問われる事態となりました。「行列のできる相談所」出身の弁護士議員たちが陥りがちな「テレビキャラ」の呪縛は、公人としての発言の重みを損なう危険性を常に孕んでいます。北村議員は、橋下氏の轍を踏まないためにも、今回の騒動について早急な説明や対応が求められています。