アジアのバンドが熱狂!フジロックが「聖地」となる理由とは

日本が誇る世界的な音楽フェスティバル、フジロックフェスティバル。今年の開催は7月25日から27日までの3日間で10万6千人を動員し、熱気と興奮に包まれました。山下達郎さんをはじめとする国内外の豪華アーティストが多数出演する中、特に注目を集めたのが、韓国をはじめとするアジア各国から参加したバンドたちの存在です。K-POPアイドルが隆盛を極める現代において、バンドという表現形態にこだわり続けるアジアのアーティストたちにとって、フジロックはまさに音楽の「聖地」。1997年の初回開催以来、新潟県湯沢町の苗場スキー場に会場を移して四半世紀が過ぎたこのフェスは、アジアを代表するイベントとしてその名を世界に轟かせています。彼らがフジロックを目標とする理由、そしてその熱狂の今に迫ります。

国境を越える音楽の熱狂:韓国バンド「Silica Gel」の軌跡

強い日差しが降り注ぎ、時折涼しい風が吹き抜けるフジロック3日目の午後。若い世代でごった返す会場のあちこちからは、韓国語が飛び交う声が聞こえました。メイン会場のグリーンステージに次ぐ規模を誇るホワイトステージには、韓国のロックバンド「Silica Gel(シリカゲル)」が登場。1曲目の「NO PAIN」から、彼らの最大の武器である切迫感のあるギターリフレインが会場全体に響き渡り、キーボード・ボーカルのキム・ハンジュさんの、かすれたような低い声が楽曲のドラマチックなムードをさらに加速させていきます。

韓国のロックバンド「Silica Gel」がフジロック出演を報告するインスタグラム投稿韓国のロックバンド「Silica Gel」がフジロック出演を報告するインスタグラム投稿

ギター・ボーカルのキム・チュンチュさんは流ちょうな英語で、満員の観客に向けて感謝の言葉を述べました。「初めてのフジロックで大変光栄であり、興奮しています。私たちは日本が大好きです。また会いましょう」。そして、ベースのチェ・ウンヒさんは日本語で「子どもの頃からバンドが好きで、この光景が私の夢でした。皆さんが私の夢そのものです」と声を震わせ、感無量といった様子でした。彼らのパフォーマンスと心からのメッセージは、観客の心に深く響いたことでしょう。

日本のライブハウス文化が惹きつけるアジアの若手バンド

観客の中には、韓国出身で今は大阪の専門学校に通いながら「BestFriend」というバンドで活動する若者たちの姿もありました。リーダーでドラムを担当するガウンさん(24)は、Silica Gelのステージを観て「サウンドも良くてかっこよかった」と、大きな刺激を受けた様子です。彼女たちが日本で活動する道を選んだ背景には、日本の独自の音楽文化への強い憧れがあります。

フジロックで日本のバンド文化に触れる韓国出身のガウンさんと仲間たちフジロックで日本のバンド文化に触れる韓国出身のガウンさんと仲間たち

ガウンさんは「日本のバンド、ライブハウスの文化に憧れがあった」と語ります。韓国ではK-POPアイドルの人気が圧倒的で、バンドが成功することは非常に難しいのが現状です。Silica Gelのようなバンドは例外的な存在であり、彼らもまた長い無名の時代を経験してきました。だからこそ、ガウンさんは日本でのバンド活動に活路を見出したのです。彼女が目標とするのは、やはりフジロック。「サマーソニックもいいけれど、バンドをやるならフジロックですね。来年はフジロックに出たい!」と、その熱い想いを明かしました。

フジロックフェスティバルを象徴するメイン会場のグリーンステージフジロックフェスティバルを象徴するメイン会場のグリーンステージ

フジロックフェスティバルは、単なる音楽イベントの枠を超え、アジアの若手バンドにとっての夢と目標を育む場として、その影響力を拡大し続けています。日本の豊かなバンド文化とライブハウスシーンが、国境を越えて才能あるアーティストたちを惹きつけ、彼らにとっての新たな挑戦の舞台を提供しているのです。これからもフジロックは、アジア、そして世界の音楽シーンにおける重要な「聖地」として、多くのバンドの夢を乗せて進化し続けることでしょう。


参考文献:

  • 共同通信社 (2025年8月28日). 「アジアのバンドが熱狂!フジロックが『聖地』となる理由とは」. (記事の公開日と配信元を参考に作成)