カムチャツカ半島沖地震と津波、「2025年7月5日」予言説の真偽を検証

30日午前8時25分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近を震源とする大規模な地震が発生し、日本でも太平洋側を中心に津波警報や津波注意報が発令されました。マグニチュード(M)8.7と推定されるこの地震は、北海道から沖縄にかけて広範囲に津波が到達。これに伴い、SNS上では漫画家たつき諒氏の著書「私が見た未来」に記された「2025年7月5日に大災難が起きる」という予言との関連性を指摘する投稿が相次ぎ、議論が活発化しています。本記事では、地震の事実関係と、この予言騒動の背景、そして両者の関連性について詳しく検証します。

安芸市から見る太平洋と海岸の広がる風景。今回のカムチャツカ半島沖地震で津波注意報が出された日本の沿岸部の一例。安芸市から見る太平洋と海岸の広がる風景。今回のカムチャツカ半島沖地震で津波注意報が出された日本の沿岸部の一例。

カムチャツカ半島沖地震の概要と津波観測

気象庁の発表によると、今回の地震は当初M8.0と推定されましたが、後にM8.7に修正され、午前9時40分には津波警報へ切り替えられました。岩手県の久慈港では1.3メートルの津波が観測されたほか、北海道の根室市花咲や青森県の八戸港、東京都の八丈島八重根で80センチ、宮城県の石巻港で70センチなど、日本各地の沿岸で津波が観測されました。北海道釧路市などでは震度2を観測しています。

海外の遠地で発生した地震による津波警報は、2024年4月の台湾付近で発生した地震以来、また大規模な警報としては2010年2月のチリ地震以来、15年ぶりのことです。内閣府の資料によれば、過去には1952年に発生したカムチャツカ半島沖地震でも、北海道から本州の太平洋側に最大3メートルの津波が到達した記録があります。

「2025年7月5日」予言騒動とXでの反響

今回の地震発生後、X(旧ツイッター)では「2025年7月5日」騒動との関連性を指摘する投稿が相次ぎました。この騒動は、2021年に出版されたたつき諒氏の著書「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)が発端となっています。同書には、たつき氏が見たという予知夢の内容として、「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せました。その津波の高さは、東日本大震災の3倍はあろうかというほどの巨大な波です」「その災難が起こるのは、2025年7月です」といった記述が拡散しました。また、予知夢を見た時刻が7月5日午前4時18分であることから、この日時に何かが起こるのではないかという憶測が広まっていたのです。たつき氏の99年出版の著書「私が見た未来」で「大災害は2011年3月」と記されていたことが、東日本大震災を予言したとされ、注目を集めていました。

実際には、今月5日に大きな騒動は起きませんでしたが、今回のカムチャツカ半島沖地震の発生により、「たつき諒氏の予言が当たったのではないか」「場所や規模は若干違うが、火山、地震、津波全て来ている」といったX上での投稿が再び脚光を浴びる形となりました。

予言内容との相違点と慎重な見解

一方で、たつき氏の予知夢の具体的な内容に言及し、今回の地震との相違点を指摘するユーザーも多く見られました。同氏の著書には、「日本とフィリピンの中間あたりの海底がボコンと破裂(噴火)したのです」といった記述があり、予言された災害の場所がカムチャツカ半島沖とは大きく異なると指摘されています。X上では、「今回のカムチャツカ半島は、たつき諒氏の予言にあるフィリピン海とは5,000km近く離れている」「1ミリも掠っていない」といった、予言の的中を否定する冷静なコメントも多数投稿されました。予言された災害の場所、規模、そして引き金となる現象(海底噴火)が、今回のカムチャツカ半島沖地震とは明確に異なるという認識が広まっています。

結論

今回のカムチャツカ半島沖地震は、M8.7という大規模なものであり、日本を含む太平洋沿岸に津波をもたらした重要なニュースです。しかし、これに便乗して拡散された「2025年7月5日」の予言騒動に関しては、たつき諒氏の予知夢の具体的な内容と、今回の地震の震源地や性質には明確な相違点があることがSNS上の検証によっても示されています。

自然災害に関する情報は、気象庁をはじめとする公的機関が発表する正確なデータに基づいて理解することが極めて重要です。SNSで拡散される情報には多様な見解が含まれますが、事実と憶測を区別し、冷静な判断を心がけることが求められます。私たちは常に、信頼できる情報源から最新の情報を入手し、それに基づいて行動することの重要性を再認識すべきです。

参考文献

  • 気象庁
  • 内閣府
  • たつき諒 著「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)
  • Yahoo!ニュース