今年の夏、日本全国の海水浴場利用を計画している方にとって、水質情報は最も重要な要素の一つでしょう。ダイヤモンド・オンラインが環境省の最新データに基づいて実施した調査によると、全国の海水浴場の水質ランキングが明らかになりました。特に注目されるのは、水質が「B」または「C」と評価された、いわゆる「水が汚い海水浴場」が多く存在する都道府県です。今回は、そのワーストランキング2025を詳細に解説し、夏のアウトドア活動をより安全に楽しむための情報を提供します。
海水浴場の水質格付け基準とランキング方法
環境省では、毎年全国の海水浴場(河川や湖沼の水浴場も含む)の水質調査を行い、その結果を「AA」「A」「B」「C」「不適」の5段階で評価しています。このうち、「AA」と「A」は「適」とされ、水質が良い状態を示します。「B」と「C」は「可」とされ、水質が比較的良好ではない、改善の余地がある状態を指します。「不適」は遊泳には適さない水質ですが、2025年の調査では「不適」と評価された海水浴場はゼロでした。
今回の「水が汚い海水浴場が多い都道府県ランキング」は、水質格付けが「B」または「C」であった海水浴場の数を都道府県ごとに集計し、その数が多い順にワーストランキングを作成しました。もし同数の海水浴場が「B」または「C」に該当する場合、その都道府県全体の海水浴場数に占める「B・Cランク海水浴場の比率」が高い方を上位(ワースト)としています。
また、水質汚濁の指標の一つとして「化学的酸素要求量(COD)」があります。この数値が大きいほど、水中に存在する有機物の量が多く、水質汚濁の程度が大きいと判断されます。本ランキングにおける「海水浴場」には一部、川や湖沼の水浴場も含まれており、海に面していない都道府県がランクインすることもあるため注意が必要です。
ワースト上位都道府県の詳細分析
ワースト1位:北海道 – 順位上昇の背景
2025年の「水が汚い海水浴場が多い都道府県ランキング」で最も不名誉な1位となったのは北海道です。今年は合計21カ所の海水浴場がBまたはCランクに分類され、昨年のワースト3位から順位を2つ上げてしまいました。昨年は17カ所だったB・Cランクの海水浴場数が、今年は4カ所増加しています(調査対象総数は昨年34カ所から35カ所に1カ所増加)。
具体的に「水が汚い海水浴場ランキング2025【全272カ所・完全版】」を見ると、北海道石狩市の「石狩浜」が6位、「ジェットビーチ石狩」が7位にランクインするなど、石狩湾に面する地域での水質問題が浮き彫りになっています。
ワースト2位:愛知 – 改善の兆しと伊勢湾の影響
昨年のワースト1位から1つ順位を下げ、ワースト2位となったのは愛知県です。昨年は調査対象となったすべての海水浴場がBまたはCランクに該当し、水質B・Cの比率が100%という不名誉な結果でしたが、今年は22カ所中18カ所がB・Cランクとなり、比率を81.8%まで改善させました。
愛知県の海水浴場別ランキングでは、「坂井」「新舞子マリンパーク」(いずれも同率13位)、「りんくう海浜緑地」「大野」(いずれも同率15位)などが上位に入っています。これら4つの海水浴場はすべて伊勢湾に面しており、伊勢湾の水質問題が愛知県の海水浴場に影響を与えている可能性が示唆されます。
日本の海水浴場のイメージ。青い空と海、砂浜が広がり、水質問題の背景を示す。海水浴場での水質調査の重要性を想起させる画像。
ワースト3位・4位:青森と千葉 – 小川原湖の水質問題
ワースト3位の青森県とワースト4位の千葉県は、B・Cランクの海水浴場数がともに12カ所と同数でした。しかし、青森県全体の海水浴場数が20カ所であるのに対し、千葉県は49カ所と多いため、「水質B・Cの比率」で青森県が千葉県を上回り、青森県がワースト3位となりました。
特に青森県では、全国でわずか4カ所しかない「水質C」に分類された海水浴場のうち2つを「小川原湖」関連の場所が占めています。具体的には、「小川原湖」自体と「小川原湖公園」が水質Cと評価されており、さらに同ランキング5位の「わかさぎ公園」も小川原湖水域です。このことから、青森県の小川原湖の水質問題が顕著であることが伺えます。千葉県の「いなげの浜」と神奈川県の「海の公園」も水質Cに分類されています。
安全な海水浴のために知っておくべきこと
水質ランキングは、海水浴場を選ぶ上での重要な情報ですが、安全な夏のレジャーのためには他にも注意すべき点が多くあります。近年、全国で水難事故が相次いでおり、海や川で遊ぶ際には、水質だけでなく天候の急変や熱中症にも十分に注意を払う必要があります。
また、海水浴場として正式に開設されている場所で泳ぐことが極めて重要です。開設されていない砂浜への出入りは可能であっても、遊泳区域を示すブイが設置されておらず、ライフセーバーも配置されていないため、万が一の際の救助が困難となり、非常に危険です。この夏の海水浴では、必ず海水浴場が開設されているかどうかを事前に確認し、指定された安全なエリアで遊ぶように心がけましょう。
環境省の公開データに基づいたこれらの水質情報を活用し、今夏の海水浴が皆様にとって安全で楽しい思い出となることを願っています。
参考文献:
- 環境省 水浴場水質調査結果 (各年度データ)
- ダイヤモンド・オンライン (水がきれいな海水浴場ランキング2025【全471カ所・完全版】 ほか)