日本の魚が獲れない真実:外国漁船の乱獲ではない、根本原因は水産資源管理の不備

7月の参議院選挙では、外国人問題が重要な争点の一つとなりました。意見や立場が異なるのは当然ですが、その議論の前提となる情報が誤っていれば、議論そのものが根底から揺らいでしまいます。スルメイカやサンマといった日本近海での漁獲量が著しく減少している問題についても同様で、「外国漁船が乱獲しているせいだ」という前提が正確でないため、多くの国民がその真の理由を誤解しています。漁業も政治と同じく、国民が関心を持ち、正しい知識を共有しなければ、その代償を支払うのは私たち一人ひとりとなるでしょう。

日本の漁獲量減少、真の要因は資源管理制度の不備

日本政府は「国際的に遜色のない資源管理システムの導入」を掲げていますが、現状では誤った情報が蔓延し、実際には魚の獲りすぎが止まらず、水産資源の持続可能性に逆行しています。この流れを断ち切ることができなければ、日本の食卓はさらに貧しくなり、多くの漁村は厳しい状況に追い込まれるでしょう。

しかし、漁獲量が減っているからといって、日本の漁業者にすべての責任があるわけではありません。最大の問題は、日本における「水産資源管理制度の不備」です。この根本的な問題が社会的に正しく認識されていないため、漁業者が不当に非難されたり、自らで自身の首を絞める結果を招いています。結果として、消費者は価値の低い魚を高い値段で買わざるを得なくなり、かつて当たり前だった安くておいしい魚がますます手に入りにくくなっているのです。

「外国船が原因」説の誤解を解く

筆者は北欧をはじめとする世界各地の水産業の現場を視察し、そこで得た見聞と客観的なデータを組み合わせて、この問題に関する情報を発信しています。多くの読者からは好意的なメッセージや質問が寄せられますが、一部には「海水温上昇のせい」「クジラが魚を食べ尽くす」「黒潮大蛇行が原因」といった科学的に矛盾を含むコメントや、「魚が獲れなくなったのは外国のせいだ」という誤解を広めかねない投稿も見受けられます。これらの要因が全く問題ないと言っているわけではありませんが、本質的な問題は資源管理制度の不備にあることを強調したいのです。

そもそも、日本の魚が減っている最大の原因は、科学的根拠に基づいた資源管理が十分に実施されていないことにあります。根拠に乏しいまま外国漁船を批判することは、日本が過去に「公海自由の原則」を主張し、遠洋漁業を展開してきた歴史を顧みると、批判どころか「巨大なブーメラン」となって自身に返ってくる可能性を秘めています。

公海でサンマを漁獲する外国漁船の様子公海でサンマを漁獲する外国漁船の様子

まとめ

日本の水産資源が減少している根本的な原因は、外国漁船の乱獲にあるという単純な結論ではありません。むしろ、科学的根拠に基づいた適切な水産資源管理システムの導入が遅れている、日本国内の制度的な問題にこそ、その真の原因が存在します。この本質的な問題を国民全体が正しく理解し、認識を深めることが、日本の豊かな食卓を守り、漁村の持続可能な未来を築くための第一歩となるでしょう。

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