紙の健康保険証、2025年7月期限切れ?マイナ保険証移行で変わる医療費

2025年7月、多くの市区町村で紙の健康保険証の有効期限が切れることをご存じでしょうか。この制度変更により、同年8月以降は「マイナ保険証」または「資格確認書」を利用することが原則となります。長年親しまれてきた紙の保険証から新たな方式への移行は、医療機関の受診方法や医療費の支払いにどのような影響をもたらすのでしょうか。本記事では、この重要な変更点と、国民が取るべき対応について詳しく解説します。

紙の保険証が使えない場合、医療費はどうなるのか?

健康保険証の有効期限が切れた後、マイナンバーカードや資格確認書を持たずに医療機関を受診した場合、原則として医療費の全額を患者自身が一度負担し、後日、加入する健康保険組合から保険給付分の還付を受ける手続きが必要となります。これは、一時的に経済的負担が大きくなる可能性を意味します。

しかし、制度移行期の混乱を避けるため、一定の特例措置が講じられています。当面の間は、有効期限が切れた紙の健康保険証や、自治体から送付された「資格情報のお知らせ」を持参した場合でも、通常通りの自己負担分(3割など)で受診できる対応が取られます。これは一時的な緩和策であり、いつまでも続くわけではない点に注意が必要です。国民は、この特別措置の終了前に、新しい制度への移行準備を進めることが求められます。

「マイナ保険証」または「資格確認書」を利用する人々を示すイメージ写真「マイナ保険証」または「資格確認書」を利用する人々を示すイメージ写真

マイナ保険証導入の背景と目的

マイナ保険証とは、マイナンバーカードの個人認証機能を利用して、その人が加入している公的医療保険の情報を確認するシステムです。この導入は、諸外国に比べて遅れていた日本の医療分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための重要な一歩として位置づけられています。

2021年10月にはマイナ保険証の本格的な運用が開始され、その後、2023年6月9日に施行された改正マイナンバー法によって、公的医療保険の資格確認はマイナ保険証を主軸とすることが正式に決定されました。これにより、従来の被保険者証(紙の健康保険証)は段階的に廃止されることになります。マイナンバーカードを保有していない方や、マイナンバーカードを持っていても公的医療保険の資格情報を紐付けていない方に対しては、代替として「資格確認書」が送付されることになっています。これにより、マイナンバーカードの有無にかかわらず、医療サービスを適切に受けられるよう配慮されています。

今後の備え:マイナ保険証と資格確認書について

新たな医療保険制度へのスムーズな移行のためには、国民一人ひとりが適切な準備を進めることが不可欠です。マイナンバーカードをお持ちの方は、健康保険証としての利用登録を速やかに行うことが推奨されます。これにより、オンラインでの資格確認や薬剤情報・特定健診情報の閲覧など、マイナ保険証ならではの利便性を享受できます。

もしマイナンバーカードをまだ取得していない、または保険証との紐付けが済んでいない場合は、市区町村やご自身の健康保険組合から送付される「資格確認書」を大切に保管し、医療機関受診時に提示できるように準備しておく必要があります。この資格確認書は、マイナンバーカードがなくても保険診療を受けられるよう発行される一時的な書類であり、今後の医療アクセスを保証する重要なものとなります。不明な点があれば、加入している健康保険組合や自治体の窓口に問い合わせて、詳細を確認することをお勧めします。

結論

2025年7月末を期限とする紙の健康保険証の有効期限切れは、日本の医療保険制度が新たな段階へ移行する節目となります。マイナ保険証を核とし、資格確認書が補助的な役割を担うこの新制度への理解と準備が、今後、円滑な医療サービスを受ける上で不可欠です。国民一人ひとりがこの変更を認識し、適切な対応を取ることで、医療DXの推進と、より効率的で質の高い医療提供体制の構築に貢献できるでしょう。

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