ウクライナ東部、年内に完全停戦 首脳会談で合意、親露派地域の扱いは解消できず





ロシアとウクライナ、仲介役のフランス、ドイツによる4カ国会談の後、記者会見に臨む4首脳(ロイター)

 【パリ=小野田雄一】ウクライナ東部で続く同国軍と親ロシア派武装勢力の紛争終結を協議するロシアとウクライナ、仲介役のフランス、ドイツの4カ国首脳会談が9日、仏パリで開かれた。4カ国枠組みによる首脳会談は2016年10月以来。プーチン露大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による初の直接会談も行われ、年末までに停戦を完全実施することや捕虜交換などで合意した。ただ、親露派の実効支配地域の扱いをめぐる根本的な対立は解消されなかった。

 同日夕に始まった会談は深夜まで及んだ。会談後の共同記者会見などによると、15年2月にロシアと親露派、ウクライナ間で結ばれた「ミンスク合意」に基づく捕虜交換の今年中の完了▽親露派・ウクライナ軍双方の兵力の前線からの引き離しの継続▽次回の4カ国首脳会談の4カ月以内の実施-などで合意した。

 会見でマクロン仏大統領は「今日、多くのことが達成された」と評価。プーチン氏も「事態は正しい方向に進んでいる」とした。

 ただ、ミンスク合意の最大の焦点である親露派の実効支配地域の扱いをめぐっては進展がなかったもようだ。同合意では(1)停戦後に東部で選挙を行う(2)選挙後にウクライナは東部に高度な自治権など「特別な地位」を与える(3)東部とロシア間の国境の管理権をウクライナに回復させる-と規定。ウクライナ側には「特別な地位の付与は実質的な独立地域を国内に抱えることになる」「国境管理権の回復前に選挙を実施すればロシアによる選挙干渉を招く」との懸念がある。

 ゼレンスキー氏は会見で「ウクライナは領土を譲らず、連邦化もしない」と強調。国境管理権の回復をめぐる問題も「この日は解決できなかった」と明らかにした。プーチン氏も「ミンスク合意の一部には解釈の違いがある」と認めた。

 ウクライナ東部紛争は、親露派政権が崩壊した14年のウクライナ政変を機に、ロシアの支援を受けた親露派が武装蜂起して勃発。これまでに双方で1万3000人以上が死亡している。



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