記録的な酷暑が日本列島を覆う中、北朝鮮もまた厳しい夏に直面しています。30度を超える日が続き、冷房設備の普及がほとんどない一般家庭では、住民たちは夜間の熱帯夜をしのぐため、広場や自宅の屋根の上で屋外睡眠を余儀なくされています。しかし、この切実な避暑行動が悲劇的な事故を引き起こしました。咸鏡南道(ハムギョンナムナムド)咸興(ハムフン)市で、屋外で寝ていた母娘が車に轢かれ死亡するという痛ましい事件が発生。これを受け、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市では夜間の屋外睡眠が禁止される事態となっています。これは今月上旬、現地からの取材協力者を通じて伝えられた最新情報です。
悲劇の背景:咸興駅前広場での痛ましい事故
今回の厳格な規制の背景には、恵山の人民班(インミンバン)や女性同盟の会議で伝えられた、咸興市での悲劇的な事故があります。協力者によると、「咸興駅前の広場で寝ていた12歳の女児と母親が車に轢かれて死亡した」という痛ましい内容が報告されました。北朝鮮において、エアコンはごく一部の特権層や新興富裕層にしか普及しておらず、一般家庭ではほとんど見られません。扇風機があっても、慢性的な電力不足のため安定して使用できない状況が多々あります。こうした劣悪な住環境と猛暑が重なることで、公共の運動場や駅、あるいは自宅や倉庫の屋根の上など、少しでも涼しい場所を求めて屋外で眠る人々が続出している現状が昨年から報告されていました。
北朝鮮の鴨緑江で洗濯をする女性たち。日常の生活風景と当局による住民への行動制限を示す写真。
厳格化される取り締まり:公共の場での屋外睡眠・酒宴に強制労働
今回の死亡事故を受けて、当局による取り締まりは一層厳しくなっています。取材協力者は、事故以降の措置について次のように証言しています。「夜に公共の場所で寝ることが一切禁止になった」。さらに、「道端や公共の場所で寝たり、夜に集まって酒宴を開いたりする行為は、無報酬の強制労働3日に処する」という通告があったと報じられています。これは、熱波に苦しむ住民の安全対策であると同時に、当局が住民の行動を厳しく管理しようとする姿勢の表れとも考えられます。
北朝鮮の夏:熱帯夜水準の酷暑と住民の苦境
北朝鮮は現在、本格的な猛暑の只中にあります。8月3日に朝鮮中央テレビが報じた天気予報によると、全国的に最高気温30度超の日が続き、特に平壌では7月29日に最高気温36度を記録しました。また、8月4日も平壌と咸興では最高気温が33度まで上昇し、最低気温も平壌で24度、咸興で23度と予報されており、これはほぼ熱帯夜の水準です。
北朝鮮の地図。咸興市や恵山市など、猛暑の影響を受ける地域と住民の生活状況を示す地理的情報。
冷房設備が整わない環境下で、熱中症のリスクに晒されながらも、北朝鮮の住民たちはこの過酷な夏を乗り切るために必死の生活を強いられています。今回の屋外睡眠禁止措置は、住民の安全を守るためのものか、あるいは統制を強化する意図があるのか、その両面から注目されます。アジアプレスは、中国の携帯電話を北朝鮮に持ち込み、現地の協力者との連絡を通じて、このような北朝鮮の厳しい現実を伝え続けています。
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