フランス・パリの象徴的な場所である「無名戦士の墓」で、慰霊の炎をタバコの火種として使用した男が逮捕されました。この行為はフランス国民の深い怒りを買い、国内外で波紋を呼んでいます。フランス当局はこの「無作法で情けない」行為を強く非難し、歴史と犠牲者への冒涜と見なしています。
慰霊の炎冒涜の男を逮捕、容疑を認める
フランスのブリュノ・ルタイヨー内相は、パリの無名戦士の墓の慰霊の炎でタバコに火をつけた男が逮捕されたことを明らかにしました。内相は自身のX(旧ツイッター)で、「慰霊の炎を冒涜した男は、死者を追悼するために建てられた埋葬地、墓、骨壷、記念碑を汚した罪で逮捕され、勾留中に容疑を認めた」と述べました。この事件は4日夜に発生し、男は5日午後に逮捕に至っています。
SNSで動画拡散、フランス国民に広がる怒り
男が凱旋門の下にある無名戦士の墓で、観光客が見守る中かがんでタバコに火をつけ、平然と立ち去る様子を捉えた動画がソーシャルメディア上で広く共有されました。この映像はフランス国民を激怒させ、非難の声が殺到しました。パトリシア・ミラレス記憶・退役軍人担当相はXに、「フランスの追悼を嘲笑しておいて、ただで済まされることはない」と投稿し、怒りをあらわにしました。
フランス・パリ、凱旋門下の無名戦士の墓。国のために命を捧げた兵士を追悼する場所
「慰霊の炎」の神聖な意味
パリを象徴するシャンゼリゼ通りの起点にある凱旋門の下には、第一次世界大戦で命を落とした兵士を代表する「無名戦士の墓」があります。ここに燃え続ける「慰霊の炎」は、祖国のために命を捧げた何百万ものフランス兵の魂を象徴し、彼らへの追悼と敬意を表す神聖な存在です。ミラレス担当相は、「この炎はタバコに火をつけるためのものではない。国のために命をささげた何百万人ものフランス兵のために燃えているのだ」と強く指摘しました。そして、「これは、私たちの戦死者、歴史、そして国家に対する侮辱だ」と述べ、今回の行為がいかに重大な冒涜であるかを強調しました。朝刊紙フィガロによると、この動画は4日夜にラトビア人観光客によって撮影され、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に最初に投稿されました。撮影した観光客はフィガロに対し、男は酔っているようには見えず、自分が何をしているのかをよく分かっているようだったと語っています。
今回の事件は、歴史的な追悼の場とその象徴に対する無理解、あるいは悪意ある行為が、いかに社会全体の怒りを引き起こすかを明確に示しました。フランス政府は、この種の冒涜行為に対して厳正な姿勢で臨むことを改めて表明しています。
参考文献
- 仏パリの無名戦士の墓の慰霊の炎でたばこに火を付けた男が逮捕される – AFPBB News / Yahoo!ニュース