【ニューヨーク=上塚真由】国連総会(193カ国)は9日、来年の東京五輪・パラリンピック期間中の休戦を加盟国に求める決議案を全会一致で採択した。同種の決議案は五輪前年に開催国が提案するのが通例となっており、今回は日本が提案した。法的拘束力はないが、北朝鮮や中東情勢が不安定な中、スポーツを通じた平和構築を発信するのが狙い。
決議案の共同提案国は内戦が続くシリアを含む186カ国に上った。本会議に出席した大会組織委員会会長の森喜朗元首相は採択前に、「五輪の間だけでも争いのない世界を実現したいという、世界中の人々の願いの結晶が五輪休戦決議だ」と演説した。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も出席した。
決議案は、五輪開幕の7日前からパラリンピック閉幕の7日後までの期間、紛争などの休戦と、選手らの安全な移動の確保を求めた。東京五輪では、世界中の人々の「多様性と調和」への関心を高めると強調。また「復興五輪」の理念を踏まえ、東日本大震災で国際社会から支援が寄せられたことに感謝を表明した。