金建希(キム・ゴンヒ)女史、特検による初の被疑者取り調べ—株価操作・公認介入疑惑で徹底追及

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)女史が6日、被疑者として特別検察官(特検)チームの事務室に出頭し、初の取り調べを受けました。ミン・ジュンギ特検チーム発足から35日目のことで、歴代大統領夫人が捜査機関に公開で出頭したのは今回が初めてとなります。金女史は同日午後5時46分頃に聴取を終え、午後8時55分頃に帰宅しました。特検チームは、取り調べ終了後、拘束令状の請求を検討する方針です。

金女史の出頭と国民への謝罪

金女史は6日午前10時11分頃、特検チームの事務室が置かれたソウル鍾路区のKT光化門ビル・ウェスト前に姿を見せました。黒いスーツ姿でフォトラインに立った金女史は、「私のように何でもない人間が国民の皆様にご心配をおかけして心からお詫び申し上げる。しっかり取り調べを受けてくる」と述べた後、特検の事務室へ向かいました。この声明は、多くの国民の注目を集めました。

金建希女史が特別検察官チームのオフィスに出頭する様子、韓国の政治捜査の焦点に金建希女史が特別検察官チームのオフィスに出頭する様子、韓国の政治捜査の焦点に

特検による主要容疑の追及

特検チームは同日、金女史に対し、主に以下の容疑について集中的な取り調べを行いました。具体的には、ドイツモーターズの株価操作(資本市場法違反)疑惑、公認への介入(賄賂授受、政治資金法・選挙法違反)疑惑、そしてコンジン法師を通じた請託(あっせん収賄)疑惑が中心となりました。ムン・ホンジュ特検補はブリーフィングで、「出頭要求書に記載された被疑事実を中心に取り調べを進めた」とし、金女史が取り調べの過程で陳述拒否権を行使しなかったことを明らかにしました。

今後の捜査展望と疑惑の背景

特検チームは、金女史について他にも楊平(ヤンピョン)高速道路の終点変更疑惑、興功(コンフン)地区の開発における特恵疑惑、大統領室と官邸移転への不当な介入疑惑、捜査妨害・もみ消し疑惑など、多数の本格的な捜査が必要な疑惑を抱えています。取り調べが必要な内容が多岐にわたるため、金女史を再度出頭させる可能性も指摘されていますが、特検チーム内部では、今回の1次聴取後に拘束令状を請求し、強制捜査に切り替える案も検討されている模様です。

これまで、検察は昨年7月20日に大統領警護処付属施設で金女史に対する出張取り調べを行い、同年10月には金女史のブランドバッグ受領と株価操作疑惑事件を全て「嫌疑なし」としました。しかし、金女史に関連する疑惑は独立した捜査機関が公正に捜査すべきだとの声が高まり、国会は3回(2023年12月、2024年6月、11月)にわたり特検法を可決しましたが、尹前大統領はいずれも拒否権を行使。その間に金女史を巡る疑惑は雪だるま式に膨らみ、尹前大統領が罷免された後に金女史関連の16件の疑惑を捜査対象とする「金建希特検法」が成立し、今年7月2日から捜査が開始されました。今回の特検による本格的な捜査は、韓国の政局に大きな影響を与えることが予想されます。

参考文献

  • 韓国ハンギョレ新聞(Yahoo!ニュースJAPAN掲載記事)