7月24日、STARTO ENTERTAINMENT(以下、STARTO社)に所属するジュニアグループ「Go! Go! kids」の活動終了が発表されました。この発表は、旧ジャニーズ事務所時代から続くローラースケートパフォーマンスを行うグループの伝統が完全に消滅したことを意味し、一部のファンに大きな落胆を与えています。この出来事は、単なるグループの活動終了に留まらず、STARTO社が目指す新たな企業戦略、特に「大人の男性アーティスト事務所」への転換を強く示唆していると見られています。
ローラースケート文化の始まりと歴代継承グループ
ローラースケートを用いたパフォーマンスは、故・ジャニー喜多川氏が’70年代からショーの構成に取り入れ、その後のジャニーズ事務所の代名詞とも言える文化として根付いてきました。当時社会現象となった「日米対抗ローラーゲーム」からインスピレーションを受けたジャニー氏は、「東京ボンバーズ」のようなプロチームから人気者が輩出される状況に強く触発されたと言われています。
このローラースケートの伝統は、「光GENJI」によって一世を風靡し、その後「Kis-My-Ft2(キスマイ)」、そして「HiHi Jets(HiHi)」へと受け継がれてきました。特にHiHi Jetsの猪狩蒼弥氏は、「東京ボンバーズ」末期の伝説的メンバーだった猪狩直樹氏を父に持つなど、ローラースケートの血統を受け継ぐ存在として期待されていました。しかし、現在のジュニアグループのメンバーシャッフルにより、猪狩氏が「KEY TO LIT(キテレツ)」に加入したことで、ローラースケート未経験のメンバーも増え、パフォーマンスでローラースケートを履く可能性は極めて低いとされています。Go! Go! kidsの活動終了は、この長きにわたるローラースケート文化の継承が途絶えた象徴的な出来事となりました。
ローラースケートでパフォーマンスを行う光GENJIの初期メンバー
STARTO社の「ジャニー氏のカラー払拭」と組織再編
ローラースケートグループの消滅は、STARTO社が故・ジャニー氏の強い影響下にあった「ジャニーズのカラー」を完全に払拭しようとする動きの一環とされています。ジュニアグループの解体も、同様の意図があったと指摘されています。
さらに、STARTO社では新たな動きとして、元「光GENJI」の佐藤アツヒロ(51)、元「関ジャニ∞」で元「NEWS」の内博貴(38)、「Four Tops」の長谷川純(39)、そして元「noon boyz」の野澤祐樹(32)らベテランアーティストのファンクラブが設立されました。内博貴は舞台、長谷川純はドラマで活動が見られますが、野澤祐樹に関してはその近況が掴みにくい状況でした。この動きは、事務所が長く所属するタレントを大切にし、改めて彼らをプロデュースしていく姿勢の表れと捉えられます。
「大人の男性アーティスト事務所」への戦略的転換
放送作家でコラムニストの山田美保子氏は、STARTO社のこれらの動きについて、単なる再編に留まらない戦略的な転換であると分析しています。彼女は、現在のデビュー組の多くが30歳を超えていることや、事務所が彼らを巧みにプロデュースしている点を挙げます。例えば、寺西拓人(30)や原嘉孝(29)といった「舞台班」の主要メンバーが「timelesz」に加入し、スポーツ紙で大きく取り上げられたこと、「なにわ男子の逆転男子」(テレビ朝日系)に「ふぉ~ゆ~」が出演し対決したこと、「A.B.C-Z」がライブの「対バン」相手として「純烈」やDAIGOがボーカルを務める「BREAKERZ」を選んだことなどを具体的な例として示しています。
これらの企画は、旧来のアイドル事務所の枠にとらわれない、新しいセンスと方向性を示しています。山田氏は、STARTO社が長年所属する30代、40代のタレントを再び売り出そうとしていると感じており、かつてボーイズグループが同社の専売特許であった時代から、「大人の男性アーティスト事務所」へと変化しつつある可能性を指摘しています。
STARTO ENTERTAINMENTは、ローラースケート文化の終焉を迎え、ジャニー氏の遺した伝統から脱却しつつ、長くキャリアを積んだアーティストを再評価し、多角的なプロモーションを展開する新機軸を打ち出しています。この大胆な戦略転換が、今後の日本のエンターテイメント業界、そしてファンの目にどのように映るのか、注目が集まります。
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