【ワシントン=住井亨介】米司法省の監察官室は9日、2016年の大統領選へのロシアによる干渉疑惑に関する捜査を検証した報告書を公表した。「政治的な偏見や不適切な動機が捜査開始の決定に影響した証拠はなかった」としたが、連邦捜査局(FBI)による捜査手続きに不備があったと指摘した。
報告書が問題視したのは、FBIが大統領選でのトランプ陣営幹部だったカーター・ページ氏の通信傍受を実施するための令状の取得・更新手続き。重要な情報を明記しないなど17の「重大な過失」があったとし、令状申請の基となった元英情報機関員の情報の信憑性に「重大な疑問」が生じたにもかかわらずFBIが手続きで提起しなかったとも指摘した。
トランプ氏は疑惑捜査が政治的な動機に基づいて始められ、初期段階で違法な盗聴が行われたと主張していた。報告書はトランプ氏の主張を一部認めた形となったが、「(捜査には)承認されるべき目的があった」とした。
トランプ氏は報告書を受け、ホワイトハウスで記者団に対して「考えていたよりはるかにひどい。これは政府転覆未遂だ」と非難した。