運動を生活の一部にしたいと願う人は多いものの、その習慣を長続きさせることは容易ではありません。フィットネスジムの会員であっても、定期的に通い続けるのは約3人に1人という調査結果が、この課題の普遍性を示しています。しかし、落胆する必要はありません。科学者たちは、運動を確固たる習慣に変えるためのシンプルかつ効果的な方法を発見しています。
アルバータ大学の運動研究者であるフェルナンダ・アルトゥーゾ氏は、行動変容において「単に情報を提供するだけでは人の習慣は変わらない。重要なのは『サポート』である」と指摘します。この「サポート」の概念こそが、多くの人が直面する運動継続の壁を乗り越えるための鍵となります。
運動習慣が定着しない背景と科学的アプローチ
運動習慣を長く続けるためには、「楽しい」と感じる活動を選ぶこと、そして自分自身で計画を立て、それをコントロールしているという意識を持つことが継続の秘訣とされています。しかし、いくら意欲があっても、現実には多くの人が途中で挫折してしまいます。
アルトゥーゾ氏は、運動プログラムが大腸がんの再発防止において、追加の化学療法と同等の効果を持つことを示した画期的な研究グループの一員です。この研究では、多くの患者が3年間の研究期間を通じて実際に運動プログラムを継続し、その運動量はほぼ2倍に増加しました。研究終了後も多数の参加者が運動を続けており、これは運動が生涯にわたる習慣となったことを示唆しています。彼らが運動を継続できた背景には、アルトゥーゾ氏が患者と実践した「行動を変えるための重要なルール」がありました。これらのルールは、新しい運動習慣を築こうとするすべての人にとって、強力な手助けとなります。
運動習慣を長く継続するために重要な、モチベーションを支えるサポートの概念図
運動を習慣化する「成功の鍵」:自分にとっての意味を明確に
運動習慣を定着させるための最初の、そして最も重要なルールの一つは、「自分にとっての運動の意味を明確にする」ことです。アルトゥーゾ氏は、約10人の大腸がん患者と3年間向き合う中で、運動ががん治療に実際に役立つこと、そして手足のしびれといった症状の緩和にもつながる可能性を彼らに伝え続けました。
彼女は、「なぜ運動が自分にとって重要なのかを理解する手助けをすることで、それが患者たちの運動習慣の揺るぎない土台となった」と語っています。運動の具体的な効果や、それが自身の健康、生活の質、あるいは特定の目標達成にどのように貢献するかを深く理解することは、困難な時にも運動を続けるための内発的なモチベーションとなります。表面的な「痩せたい」「健康になりたい」だけでなく、より個人的で具体的な「なぜ(Why)」を見つけることが、長期的な習慣形成には不可欠なのです。
まとめ:サポートと内なる「なぜ」が運動継続を支える
運動習慣の定着は、単なる体力や意志力の問題ではなく、適切な「サポート」と自分自身の「なぜ」を明確にすることに深く関連しています。アルバータ大学の研究が示したように、外部からの情報提供だけでなく、継続的な伴走と、運動が自分にとって持つ深い意味を理解することが、行動変容と習慣化の成功に繋がります。自身の健康や幸福に対する運動の価値を再認識し、それを日々の生活に組み込むためのサポートを意識することで、あなたも持続可能な運動習慣を築くことができるでしょう。
参考資料
- ビジネスインサイダージャパン:運動を続けるための「必勝法」とは…自分に合った効果的なエクササイズルーチンの作り方
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e58072f30661c99e1f462f782a757dbdd27d573