日米相互関税の認識齟齬が表面化:石破政権に野党から批判集中

トランプ米政権が7日に発動した新たな「相互関税」を巡り、日本政府が米国との間で合意したと説明していた負担軽減措置が適用されず、従来の税率に15%が上乗せされる事態となりました。訪米中だった赤沢亮正経済再生担当相は7日(日本時間8日午前)、ワシントンでの記者会見で「米側から大統領令を修正するとの説明があった」と述べましたが、日米間の認識の食い違いが露呈したことに対し、8日には野党各党から石破政権の交渉不手際を厳しく批判する声が相次いでいます。

トランプ大統領と握手する赤沢亮正経済再生担当相、日米関税交渉の緊密な関係を示すトランプ大統領と握手する赤沢亮正経済再生担当相、日米関税交渉の緊密な関係を示す

野党各党からの石破政権への要求と懸念

赤沢経済再生担当相の説明について、立憲民主党の野田佳彦代表は8日の記者会見で、「具体的にいつ修正されるのか不明であり、先行き不透明感を払拭できない」と強い懸念を表明しました。野田氏は、国会での閉会中審査を開き、政府に交渉状況の徹底した説明を求める考えを示しました。また、合意文書を作成せずに赤沢氏が複数回訪米している点について「極めて憂慮すべき」と指摘し、「しっかりとした文書を作成すべきだ」と主張。これまでの予算委員会での赤沢氏の発言との相違を問題視し、再度閉会中審査での詳細な説明を求めました。さらに、日米の関税交渉合意内容が履行されていない現状で「石破茂首相とトランプ大統領の会談がないこと自体が奇異に映る」と述べ、首相による直接交渉の必要性を強く求めました。

立憲民主党の野田佳彦代表が日米相互関税問題に関する記者会見で発言する様子立憲民主党の野田佳彦代表が日米相互関税問題に関する記者会見で発言する様子

日本維新の会の吉村洋文代表は、記者団に対し、「アメリカも国家として行動しており、単なる行政文書の間違いではない」と指摘しました。吉村氏は、トランプ大統領の判断一つで状況が変化し得ることを前提とした交渉戦略と対策の重要性を強調し、政府に適切な対応を求めました。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、SNS上での投稿で「進展があったことは評価する」としつつも、「修正のための大統領令がいつ発布されるのか、時期の確約だけでも得るべきだった」と指摘しました。玉木氏は、「約束が再び『口約束』で終わらないか、不安は消えない」と述べ、透明性と確実性の欠如に対する懸念を表明しました。

適用された関税と今後の見通し

日本政府はこれまで、相互関税が15%に引き下げられる日米合意において、本来の関税率が15%未満の品目には一律15%が適用され、15%以上の品目には上乗せがない仕組みであると説明していました。しかし、今回の7日の相互関税本格発動では、すべての品目に対して一律15%が上乗せされる結果となりました。また、焦点となっていた自動車関税の27.5%から15%への引き下げ時期についても、依然として明確な目途が立っていません。日米間の認識の齟齬が解消されない限り、今後の交渉は難航が予想され、透明性のある情報開示が強く求められます。