いよいよ夏本番を迎え、猛暑が続く毎日。レジャーや旅行、帰省などで出費が増えやすいシーズンでもあります。このような家計の負担が大きくなる時期だからこそ、自身の貯蓄状況を見直し、将来に向けた資産形成について考えることは非常に重要です。本記事では、金融経済教育推進機構が発表した最新データに基づき、日本における各世代の平均貯蓄額を解説。後半では、元銀行員としての知見から、貯蓄に成功している人々に共通する具体的な習慣のヒントを探ります。
日本の世代別「平均貯蓄額」のリアル
貯蓄について考える際、多くの人が気になるのが「同世代の人たちはどれくらい貯めているのだろう?」という点ではないでしょうか。お金に関する話はオープンにしにくいものですが、自身の貯蓄状況が同世代と比較してどの水準にあるのかを知ることは、健全な家計管理を進める上で大切な指標となります。
金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、2人以上世帯における各世代別の金融資産保有平均額は以下の通りです。なお、本調査における金融資産保有額には、預貯金のほか、株式、投資信託、生命保険なども含まれ、日常的な出し入れ・引落しに備える普通預金残高は含まれていません。
年代別貯蓄額の円グラフ:20代から70代までの平均・中央値と貯蓄ゼロ世帯の割合
各世代の金融資産保有額(平均)
- 20歳代: 382万円
- 30歳代: 677万円
- 40歳代: 944万円
- 50歳代: 1168万円
- 60歳代: 2033万円
- 70歳代: 1923万円
このデータからは、平均貯蓄額が年代に比例して増加する傾向が明確に読み取れます。特に50歳代で1000万円台に到達し、60歳代では平均額が大きく増加している点が注目されます。これは、多くの場合、退職金などのまとまった金額を受け取る機会があることが背景にあると考えられます。
2000万円以上の貯蓄を達成している世帯の割合
「老後資金2000万円問題」が注目される中で、2000万円を目標に貯蓄に取り組んでいる世帯は少なくありません。上記の調査では、2000万円以上の貯蓄に成功している世帯の割合も示されており、その内訳は以下の通りです。
- 20歳代: 2.3%
- 30歳代: 7.0%
- 40歳代: 12.0%
- 50歳代: 17.0%
- 60歳代: 28.0%
- 70歳代: 27.9%
年齢に比例して2000万円以上の貯蓄を持つ世帯の割合が増加している一方で、20〜30歳代といった若年層においても、既に2000万円以上の貯蓄を達成している世帯が存在することが分かります。もちろん、相続や贈与によってまとまった資産を受け取ったケースも考えられますが、元銀行員として様々な顧客と接する中で、筆者は若くても着実に貯蓄を増やしている人に数多く出会ってきました。彼らには共通する「貯蓄上手の習慣」が存在します。次章以降で、その真似したい習慣について詳しくご紹介します。
まとめ
本記事では、日本の各世代における平均貯蓄額と、2000万円以上の金融資産を保有する世帯の割合について、具体的なデータを通じてその実態を探りました。自身の世代の貯蓄状況を客観的に把握することは、家計管理における現状認識の第一歩となります。若年層でも高額な貯蓄を達成している世帯が存在するという事実は、計画的な資産形成がいかに重要であるかを物語っています。家計の負担が増えやすい時期だからこそ、今回のデータが、自身の貯蓄目標設定や見直し、そして効果的な貯蓄方法の探求へと繋がるきっかけとなれば幸いです。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」