参院選の「減税」論争に竹中平蔵氏が異論「消費減税は効果なし、日本の危機」

先の参院選では、全国民への2万円給付を掲げた自公政権が大敗し、減税を訴える野党勢力が議席数を伸ばしました。この結果は、国民が「減税」を選択したものと解釈されています。しかし、経済学者の竹中平蔵氏は、今回の選挙で大きなテーマとなった「減税」の議論に対し疑問を呈しています。彼は、特に「消費減税には意味がない」と強く主張し、このままでは日本が「さらに『失われた30年』を経験することになる」と警鐘を鳴らしています。

物価高騰で「全ての人を助けるべきではない」竹中氏の主張

竹中氏は、参院選の主要テーマであった減税について、政策の真の目的を問い直す必要があると述べます。現在の日本経済が低迷し、物価上昇によって多くの人々が生活に困窮している状況を受け、「皆を助ける」というアプローチには疑問を呈しています。「私のように明日食べる物に困らない者にまで経済政策で助ける必要はない」と述べ、本当に支援が必要な層に焦点を当てるべきだと強調します。

彼は、困窮層の最大の要因は社会保険料負担であり、その軽減か、あるいはそれを補償する給付金の支給がより理に適っていると指摘します。

消費減税の「逆進性」:低所得者支援にならない理由

竹中氏は、「生活に困る層はそもそも税金をあまり払っていないのに、減税でどう助けるのか」と問いかけます。消費税は低所得者ほど負担が大きくなる「逆進性」を持つため、消費税を下げれば、多くの消費を行う高所得者層が相対的に有利になります。富裕層や中間層が減税されれば嬉しいのは当然ですが、生活が苦しい人々が多数存在する中で、これが優先して行うべき政策なのかと疑問視しています。

日本経済の未来を案じる視点:物価上昇と減税問題日本経済の未来を案じる視点:物価上昇と減税問題

円安と交易条件悪化:避けられない生活水準の低下と真の成長戦略

さらに、竹中氏は円安の進行が交易条件の悪化を意味すると説明します。これは、これまで100円で買えたものが150円支払わなければならなくなる状況であり、その時点で国民の生活水準が低下するのは避けられないと指摘します。彼は、「ある程度の生活水準の低下は仕方ないこと」であるとし、これを根本的に防ぐには、日本が経済力を高めるための「別の成長戦略」を国として早急に打ち立てる必要があると力説しています。

竹中平蔵氏の分析は、減税、特に消費減税が現在の日本経済の課題、特に物価上昇と国民の生活苦に対する抜本的な解決策ではないことを明確に示唆しています。彼は、真に困窮する層への的確な支援や、社会保険料負担の見直しを優先すべきだと主張。同時に、日本の長期的な経済回復には、単なる減税に頼るのではなく、新たな経済的活力を生み出すための包括的な成長戦略の策定が不可欠であると結論付け、現状への強い警鐘を鳴らしています。

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