長年の努力が実り、念願の課長職に昇進。しかし、「月5万円しか給料が上がらない」と聞き、責任と仕事量が増える中でこの金額が見合っているのか疑問を感じる方もいるでしょう。本記事では、課長昇進時の平均的な昇給額をデータで示し、なぜ給料が思ったほど上がらないのか、その背景にある企業側の理由を分かりやすく解説します。
課長昇進で平均どのくらい給料が上がる?厚生労働省のデータ
厚生労働省が公表する「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、男女計の平均月収は、課長級で49万800円、係長級で37万800円です。このデータから、係長から課長へ昇進することで、月収は約12万円アップするのが全国平均と読み取れます。
そのため、昇進によって月5万円しか上がらなかった場合、全国平均と比較すると少なく感じるかもしれません。しかし、この数字はあくまで平均値であり、企業規模や業種、給与制度によって昇給額は大きく異なります。中小企業や給与水準が低い業界であれば、この5万円という昇給額がむしろ平均的であるケースも存在します。単純な金額だけで判断せず、自社や業界の特性を考慮することが重要です。
課長昇進で給料アップに期待するビジネスパーソン
昇進しても給料が上がりにくい理由と制度的背景
「責任が増えるのに給料が思ったより上がらない」と感じる背景には、企業の制度的な要因が関係しています。
一つは、給与テーブルに基づく「等級制度」です。役職が上がっても基本給の等級が大きく変わらない、あるいは昇給幅が限定的な場合、全体の昇給額も抑えられます。
次に、「昇進と昇給のタイミングのズレ」です。評価期間の途中で課長に昇進した場合、給与が本格的に反映されるのは次回の評価時となる可能性があり、この時間差が昇給が少ないと感じさせる原因となります。
また、「成果主義の評価制度」も影響します。昇進後、期待される役割に対する実績がまだ不十分と評価されれば、大幅な昇給は見送られることもあります。しかし、これは裏を返せば、昇進後に成果を出せば次回の査定で大きな昇給が期待できるということです。
このように、昇進と給料の大幅アップは必ずしも即座に連動するわけではないのが実情です。
まとめ
課長職への昇進で月5万円の昇給は、全国平均より少なく感じるかもしれません。しかし、企業規模や給与制度、個人の評価など複合的な要因で昇給額は変動します。昇進と給与の連動は単純ではないことを理解しましょう。
この昇進を、自身のキャリアをさらに発展させる機会と捉え、給与だけでなく、自社の給与制度を深く理解し、給与以外の価値も評価することが、賢明な判断に繋がるでしょう。
参考文献
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」