麻生太郎氏、石破首相退陣要求で波紋:SNS「麻生こそ引退を」の声噴出

自民党の最高顧問を務める麻生太郎氏が2025年9月3日、派閥の研修会で「総裁選の前倒しを要求する書面に署名し、提出する」と明言し、石破茂首相に退陣を迫ったことで、政界に大きな波紋が広がっています。この84歳の重鎮による動きは、”古い自民党”の象徴とも見なされ、SNS上では「前倒しすべきは麻生太郎の政界引退」との批判が殺到。一方で、「アンチ石破派」からは麻生氏の動きを歓迎する声も聞かれ、党内の対立構造が改めて浮き彫りとなっています。

麻生氏の発言と石破おろしの号砲

麻生氏は会合で、去る7月の参院選について「惨敗は明らかだ」と強調しました。その上で、「次の衆院選に勝利できる体制を整えなければならない」と語り、石破首相の退陣に向けた号砲を鳴らしました。党内から首相交代を求める具体的な動きが出たことで、今後の政局の行方が注目されています。

麻生太郎自民党最高顧問、派閥研修会で総裁選前倒しを要求する様子麻生太郎自民党最高顧問、派閥研修会で総裁選前倒しを要求する様子

高まる批判とSNSの反応

しかし、麻生氏の発言は、大手メディアによる8月の世論調査で石破内閣の支持率が軒並み上昇している状況と対照的です。SNSでは、これまで冷遇されていた旧安倍派などの裏金議員が石破おろしの主力となっていることへの嫌悪感や、より右派的な主張が強い高市早苗氏が次の首相候補に挙がることへの警戒感が根強く示されています。

このタイミングでの麻生氏による総裁選前倒し要求表明は、X(旧Twitter)で火に油を注ぐ事態となりました。「自民党は、石破をおろすよりも麻生をおろす方が先ではないか?」「麻生さんは確か『最高』顧問なんすよね?あなたは『惨敗』の責任をどのようにとるおつもりか?」といった批判の声が殺到し、過去に自民党の下野を招き、その後長らく副総理を務めてきた麻生氏に対して「麻生辞めろ」のハッシュタグがXのトレンド入りする事態に発展しました。フリーライターの武田砂鉄氏は、旧態依然とした自民党の動向に対し、「『解党的出直し』を宣言した後で、早速、『派閥領袖の麻生氏が動いた(ので私も)』となる、出直してない感」と皮肉を込めています。

党内からも牽制の声

自民党内からも、麻生氏の動きを牽制する声が上がっています。石破首相を支持する鈴木宗男参院議員は、「私は麻生さんが前倒し賛成だと言えばですね、逆に世論は冷静な判断をして、よくぞ言ってくれた、あなたが出ることによって、またこれで自民党の支持は下がりますよという流れになってくると思います」と発言し、麻生氏の行動が党の支持率に悪影響を与えかねないとの見方を示しました。また、平将明デジタル相も名指しはしなかったものの、「いまだに派閥があるのかという感想を持った」と言及。「自民党が先祖返りをしてしまう」と苦言を呈し、派閥政治への回帰を懸念する声が上がっています。

結論

麻生太郎氏による総裁選前倒し要求は、石破政権に対する党内からの明確な挑戦であると同時に、自民党が掲げる「解党的出直し」の真剣さが問われる状況を生み出しています。国民の信頼回復が急務とされる中で、重鎮の発言が党内外で賛否両論を巻き起こし、SNSのトレンドにまで影響を与える現状は、自民党が抱える内部対立の根深さと、国民が求める政治改革への期待値の高さを浮き彫りにしています。今後の自民党の動向は、次期衆院選を控える日本政治にとって極めて重要な局面となるでしょう。


参考文献