マクドナルド「ポケモン」転売問題と景品表示法:企業責任と消費者の行方

日本マクドナルドのハッピーセット「ポケモン」を巡る転売行為が再び社会問題化し、景品表示法違反に当たるのではないかとの疑念がインターネット上で相次いでいます。メルカリと連携した転売対策が発表されていたにもかかわらず、その実効性が問われる事態となっています。本記事では、この騒動の背景から、マクドナルドの新たな対策、そして消費者庁の見解が注目される景品規制の論点までを解説します。

大規模転売の実態と顧客の反発

今回のハッピーセット発売後、店舗では転売目的とみられる大量購入が頻発しました。あるマクドナルド店舗のレジ前では、大量の商品が入った袋を抱えた男性客(外国人)と他の客との間で口論が勃発。「一人5セットだろ!」と注意する声に対し、男性客はたどたどしい日本語で説明を試みるも、「常識ないなら、行けよ」と周囲から非難され、その場を去りました。この様子を捉えた動画は、ハッピーセットが発売された翌日の2025年8月9日にX(旧Twitter)で投稿され、この男性が一人で40個ものセットを購入していたと報じられています。

この騒動を一層加熱させたのは、おもちゃのポケモンに加えて11日までの3連休限定で配布された人気ポケモンカード2枚セットの存在です。希少性の高いポケモンカードは、発売直後からメルカリなどのフリマアプリで高値で次々に売り出されました。その結果、ハッピーセットの食品部分が食べられずに廃棄されるフードロス問題も発生し、店頭やゴミ箱に放置されたハッピーセットの痛ましい写真がXに多数投稿され、世間の注目を集めました。

レジ前に積まれたマクドナルドのハッピーセット商品レジ前に積まれたマクドナルドのハッピーセット商品

マクドナルドの対応と消費者庁の見解

事態を重く見た日本マクドナルドは、2025年8月9日に公式サイトで多くの店舗でポケモンカードの配布が終了したことを発表し、「楽しみにしてくださっていたお客様のご期待にお応えできなかった」と謝罪しました。さらに11日には、転売目的の大量購入や食品の放置・廃棄といった問題が発生したことを認め、「当社の対応が不十分であった」として、再発防止策を公表しました。

具体的な対策として、今後はより厳格な販売個数制限を設ける場合があること、ルールやマナーを守らない顧客に対しては販売を断ることなどを明記しています。加えて、メルカリを含む各フリマアプリ運営事業者に対しても、より実効性のある転売対策を要請していく方針を示しました。

この一連の騒動を受け、景品表示法に詳しい専門家や消費者の間からは、「おまけの範囲を超えているのではないか」「転売価格を考慮すると景品規制に違反するのでは」といった声が上がっています。景品表示法における景品規制について、転売価格がどのように考慮されるのかといった点について、消費者庁の見解が待たれるところです。

店舗前やゴミ箱に放置されたマクドナルドのハッピーセットと廃棄物店舗前やゴミ箱に放置されたマクドナルドのハッピーセットと廃棄物

結び

マクドナルドのハッピーセットを巡る転売問題は、単なる消費者トラブルに留まらず、企業の販売戦略、フードロス、そして法規制のあり方までを含む社会問題へと発展しています。日本マクドナルドが発表した再発防止策がどこまで実効性を持つのか、そして消費者庁が景品表示法に関してどのような見解を示すのか、今後の動向が注目されます。企業の責任ある対応と、フリマアプリ事業者との連携が、公正な市場環境を維持し、消費者の信頼を取り戻す鍵となるでしょう。

参考文献