伊東市長学歴詐称疑惑:百条委での「19.2秒チラ見せ」反論と不誠実な答弁

静岡県伊東市の田久保眞紀市長が抱える学歴詐称疑惑は、百条委員会での証人尋問によって新たな局面を迎えています。市長は疑惑に正面から向き合わず、終始「逃げ」の姿勢を貫きました。特に注目されたのは、いわゆる「チラ見せ疑惑」に対する「19.2秒間見せた」という具体的な数字を挙げた反論です。しかし、この反論は、偽の卒業証書を市長から見せてもらったと証言する伊東市議会副議長の青木敬博氏によって即座に再反論されています。本稿では、この証人尋問での田久保市長の答弁内容とその背景、そして議会側の見解を詳しく報じます。

終始一貫した「逃げ」の答弁

8月13日に実施された百条委員会の証人尋問で、田久保市長は自身の学歴詐称疑惑について、明確な説明を一切行いませんでした。その答弁は、議員の質問に対して具体的な内容を避ける「木で鼻を括ったような」表現に終始しました。例えば、「なんだったかというご質問だと思うのですが、卒業証書とされているものだったと思います。以上でございます」や、「自覚というご質問でございましたが、私の感想であるとか考え方といったような、事実関係でしっかりと証明できない回答は今回、差し控えさせていただきたいと思います。以上でございます」といった答弁を繰り返しました。

問題の「ニセ卒業証書」の提出を求められても、「回答書に示した通りでございます」と述べるに留まり、提出を拒否。このような不誠実な態度に対し、議員からは「田久保市長に正当性があるならば、もはや東洋大学は悪の組織と言ってもいいくらいだ。東洋大学の責任を追及するのは市長の義務でしょう」といった強い追及が行われました。しかし、これに対しても市長は「何度も繰り返しで申し訳ないのですが、9月半ばまで(大学が)夏休み中でして…」と、大学の夏休みを理由に追及をかわすなど、2時間にわたる尋問の間、一貫して逃避の答弁に徹しました。

青木副議長が見た「戦略的」な答弁回避

田久保市長の答弁を間近で聞いていた伊東市議会副議長の青木敬博氏は、市長の尋問中の様子について「はぐらかすことを決め込んでいたのでしょうね。表情豊かで時々笑みも交えていましたよ」と証言しています。青木氏によると、市長は尋問中、特に二つの点について意識的に失言を避けていたように感じられたと言います。一つは「卒業していないと認識していたと取れる発言」であり、もう一つは「犯意があったのではないか」という質問です。

伊東市長学歴詐称疑惑:百条委での「19.2秒チラ見せ」反論と不誠実な答弁伊東市の百条委員会で証人尋問に立つ田久保眞紀市長の様子。学歴詐称疑惑について質問を受ける田久保市長。

公選法違反に問われるリスクを回避するため、自身が除籍になった事実を認識しながらも卒業を誤認していたかのように振る舞い、意図的な虚偽公表の印象を与えないよう努めていると青木氏は見ています。これは、学歴詐称疑惑の核心に触れる部分であり、市長が自身の立場を守るための戦略的な答弁であったと分析されています。

唯一具体的な「19.2秒」チラ見せ反論の真偽

多くの質問に対して曖昧な回答を続けた田久保市長が、唯一具体的に反論したのが「チラ見せ疑惑」についてでした。この疑惑は、学歴詐称疑惑が浮上したばかりの6月上旬、市長が青木副議長と中島弘道議長に対し、偽物とされる卒業証書を「一瞬だけ見せて乗り切ろうとした」と両氏が証言しているものです。百条委員会で市長はこの疑惑に対し、「報道であるようなチラ見せという事実はありませんで、19.2秒ほど見ていただいたと記憶しております」と詳細な数字を挙げて反論しました。

尋問後の囲み取材においても、市長は自信満々にこの主張を繰り返しています。「会話の録音記録を持っていて、ストップウォッチで確認しています。19.2秒提示したあとで議長からは『いいじゃん』というコメントがあり、私としては肯定していただいたという風にとれる発言があり、それが事実でございます」と述べ、自身の主張の正当性を強調しました。しかし、この「19.2秒」という数字や「録音記録」の存在、そして議長のコメントの解釈については、引き続き議論の的となっています。

結論

伊東市の田久保眞紀市長に対する学歴詐称疑惑を巡る百条委員会の証人尋問は、市長が終始一貫して疑惑の核心部分への説明を避け続ける結果となりました。特に「19.2秒」という具体的な数字を挙げた「チラ見せ疑惑」への反論は、その信憑性が問われる一方、市長が自己の立場を守ろうとする姿勢を鮮明に示しています。透明性と説明責任が求められる公職において、今回の尋問が市民の信頼回復に繋がるかは不透明であり、今後の調査や議会の動向が引き続き注視されます。

参考文献