広瀬すず主演映画の続編ドラマ「ちはやふる―めぐり―」視聴率2.7%に急落:プライムタイムの苦境と日本テレビの戦略転換

期待を集めていた日本テレビ系ドラマ「ちはやふる―めぐり―」が、2025年8月6日に放送された第5話で視聴率2.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯)という厳しい数字を記録し、日本のテレビ業界に衝撃が走っています。映画版で大ヒットを収めた広瀬すず主演「ちはやふる」の10年後を描く続編として注目された本作の急落は、プライムタイムのドラマが直面する現代の課題と、テレビ局の戦略転換の必要性を浮き彫りにしています。

「ちはやふる―めぐり―」の視聴率急落と業界への衝撃

「ちはやふる―めぐり―」第5話の視聴率2.7%は、低視聴率で知られる朝や昼のバラエティ番組と大差ない水準です。しかし、このドラマが放送されているのは夜10時というプライムタイム帯であり、広告収入の要となる時間帯であることを考えると、この数字は非常に深刻です。日本テレビの関係者からは、編成部やドラマ部がこの結果に静まり返ったとの声も聞かれます。プライムタイムはスポンサーが高額な広告枠を購入する時間帯であり、テレビ局としてはどのような時間帯であってもあってはならない低視聴率であるため、その衝撃は計り知れません。この事態は、日本のテレビ局が視聴率獲得のためにどのような厳しい現実に直面しているかを明確に示しています。

広瀬すず。映画『ちはやふる』で主演を務め、日本の若手女優として高い評価を受けている。広瀬すず。映画『ちはやふる』で主演を務め、日本の若手女優として高い評価を受けている。

大ヒットシリーズの続編が直面した現実

「ちはやふる」シリーズは、累計2700万部を突破した末次由紀氏の人気少女漫画が原作です。2011年には日本テレビでアニメ化され、第3期まで放送されるなど、幅広い層に支持されてきました。特に、2016年に広瀬すず主演で公開された実写映画版は「ちはやふる―上の句―」「ちはやふる―下の句―」ともに大ヒットを記録し、2018年の完結編「ちはやふる―結び―」ではシリーズ最高の興行収入17億3000万円を達成しました。このような背景から、連ドラ版「ちはやふる―めぐり―」は「成功が約束された“テッパンもの”」と期待されていましたが、実際の視聴率は初回から苦戦を強いられました。7月9日放送の第1話は5.2%でスタートし、その後、第2話4.3%、第3話4.2%、第4話4.1%と推移し、そして第5話で2.7%へと急落したのです。

視聴率低迷の背景とテレビ局の戦略転換

第5話の視聴率急落の原因については、具体的な外部要因が見当たらないとされています。当日が「広島原爆の日」であったものの、夜10時台には「NHKスペシャル」以外の特番はなく、また「バスケットボール男子アジアカップ」中継による5分遅れが決定的な影響を与えたとは考えにくい状況です。しかし、この水曜ドラマ枠は、前作「恋は闇」の平均視聴率が4.0%と振るわなかった経緯があります。「家政婦のミタ」や「ハケンの品格」といったヒット作を数多く生み出してきたこの枠は、2022年にフジテレビが裏番組にドラマ枠を復活させたことで、日本テレビは昨年4月、水曜夜10時台のドラマ枠を土曜夜9時台に移動させるという大胆な戦略転換を行いました。

当初、この動きは日本テレビがフジテレビとの直接対決に敗れた結果と見られていましたが、実際のところ、フジテレビの「わたしのお嫁くん」(平均5.6%)が日本テレビの「それってパクりじゃないですか? 〜新米知的財産部員のお仕事〜」(平均4.2%)を上回ったのは2023年4月期の1回のみでした。それでも、テレビ局は13〜49歳の「コア層」と呼ばれる主要な視聴者層の奪い合いを避けるため、そして広告主への価値提供を最大化するために、このような枠移動を決断したのです。その結果、日本テレビの土曜夜は、9時台(土ドラ9)と10時台(土ドラ10)の2段積みドラマ枠というユニークな形になりました。

結論

「ちはやふる―めぐり―」の視聴率急落は、かつての大ヒットシリーズであっても、現代の多様なメディア環境と視聴者の嗜好の変化に適応することの難しさを示唆しています。これは、日本のテレビドラマ業界全体が直面する課題であり、単なる一作品の不振に留まらない、より広範なメディアトレンドの一部と捉えるべきです。テレビ局が視聴率を確保し、広告価値を維持するために、今後もどのような戦略転換やコンテンツ制作の模索を進めていくのか、その動向が注目されます。

参考文献