諏訪湖SA、花火大会で異例の「6時間全面閉鎖」へ – 中央道大渋滞対策

NEXCO中日本は、2025年8月15日に開催される「第77回諏訪湖祭湖上花火大会」に伴い、中央自動車道の諏訪湖サービスエリア(SA)上下線を異例の6時間全面閉鎖する措置を発表しました。この対応は、長年にわたり花火大会時に発生していたSAの機能不全と中央道本線への交通渋滞を解消し、道路の安全な利用を確保することを目的としています。高速道路利用者の休憩施設としての本来の役割を守るための、徹底した対策が講じられます。

諏訪湖SA、”特等席”ゆえの課題

諏訪湖SAは、長野県諏訪市(上り線)と岡谷市(下り線)に位置し、中央道と長野道を接続する岡谷ジャンクション手前にある大規模なサービスエリアです。その名の通り、諏訪湖にほど近い高台にあり、湖の美しい景観を一望できるビュースポットとしても広く知られています。

中央自動車道諏訪湖サービスエリアの景観。手前には駐車場があり、奥には諏訪湖が広がる。花火大会時に多くの車両が殺到する地点。中央自動車道諏訪湖サービスエリアの景観。手前には駐車場があり、奥には諏訪湖が広がる。花火大会時に多くの車両が殺到する地点。

毎年8月15日に開催される「諏訪湖祭湖上花火大会」は、1949年から続く全国的に有名な湖上花火大会です。大スターマインやナイアガラなど迫力ある演出に加え、破裂音が周囲の山々に響き渡る独特の魅力で、地元はもとより首都圏からも約50万人もの観客が押し寄せます。この花火大会は、打ち上げ場所が諏訪湖の東岸であることから、諏訪湖SAが花火観覧に最適な「特等席」として密かに人気を集めていました。

しかし、この「無料特等席」としての利用が例年問題を引き起こしてきました。花火観覧目的の利用者が殺到し、SAが花火大会終了まで事実上占拠される状態となり、駐車場が満車に。これにより、高速道路利用者の本来の目的であるトイレ休憩や買い物などが全くできない事態が発生しました。さらに深刻なのは、満車状態にもかかわらずSAへの入場を待つ車両が列をなし、最終的に中央道の本線上にまで渋滞が伸びることで、高速道路ネットワーク全体に影響を及ぼしていた点です。

NEXCO中日本の徹底した対策と利用者への呼びかけ

こうした状況を受け、NEXCO中日本は2025年の花火大会に向けた抜本的な対策として、諏訪湖SAの全面閉鎖を決定しました。閉鎖は花火打ち上げ開始の4時間前である8月15日15時から実施され、数時間前にSAに来て場所取りをしようとする行為も物理的に不可能となります。

閉鎖時間中は駐車場だけでなく、店舗の営業も休止され、施設内への立ち入りもできなくなります。さらに、閉鎖時にすでに駐車している車両に対しても「全車退出」を求めるという、極めて徹底した措置が取られます。NEXCO中日本は、「SAからの花火観覧はおやめください」と強く呼びかけるとともに、「休憩はお早めに他の休憩施設をご利用ください」と広報しています。これは、SAが休憩施設であり、花火観覧場所ではないという明確なメッセージを発することで、同様の問題の再発防止を図るものです。

閉鎖中の代替休憩施設と予想される影響

諏訪湖SAの閉鎖に伴い、高速道路利用者は代替の休憩施設を利用する必要があります。上り線の場合、諏訪湖SAから約14km先の「中央道原PA」まで休憩施設がありません。また、下り線では、約15km先の「辰野PA」もしくは13km先の「長野道みどり湖PA」が代替となります。

これらの代替PAも、花火大会前後の時間帯は非常に混雑することが予想されます。NEXCO中日本は、利用者がこの情報を十分に把握し、早めの休憩を心がけること、また、可能であれば花火大会前後の時間帯は別ルートに迂回したり、移動時間を変更するなどの対策を講じるよう促しています。

今回の諏訪湖SAの全面閉鎖は、高速道路の安全で円滑な交通を確保し、すべての利用者が適切に休憩施設を利用できるようにするための重要な決断です。花火大会の観覧は、指定された観覧場所や公共交通機関を利用するなど、適切な方法で行うことが強く求められます。


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